数量政策学者の高橋洋一が6月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日銀が議論するコロナ対応の終了について解説した。
日銀がコロナ対応策の終了について議論へ
日本経済新聞によると、日銀は6月16日~17日に開く金融政策決定会合で、新型コロナウイルス禍で導入した資金繰りの支援策の終了の是非を議論する。
飯田)資金繰りについて飲食業の方々に聞くと、むしろコロナ禍から起動していくときに運転資金が必要なので、「ここから先が踏ん張りどころなのですよ」という話を聞きます。
高橋)金融支援でどこまでできるかわかりませんが、やはり景気をよくしないと本質的には難しいですよ。
飯田)全体のマクロをよくしていかないと。
経済を回すためには「呼び水」が必要 ~「Go To トラベル」など
高橋)日本銀行はこんな話をしていないで、全体のマクロ経済をよくすることを考えていただきたいです。「急速な円安が経済にマイナス」と言われていますが、「急速」ということはないと思います。
飯田)急速ということは。
高橋)こういう関係を活かすマクロ経済政策で、需給ギャップ(GDPギャップ)を縮めるようにするべきです。黒田さんはGDPギャップについて、強制貯蓄があるから縮まるかのように説明していますが、大問題です。飲食が大変なら「Go To トラベル」など「呼び水」になることをやるべきです。そうすれば本当に需要が出ます。
飯田)資金繰りを支援するのであれば、経済を回して利益を上げてもらった方がいいと。
高橋)日銀の黒田総裁は「強制貯蓄で回復します」などと言わずに、「ここは呼び水が必要です」ということで、「総理、Go To トラベルをぜひ」と言った方が面白いではないですか。
強制貯蓄が自然に溶けるのならば、4月は消費が伸びたはず ~需給ギャップを縮めて、強制貯蓄を引き出すような政策を考えるべき
飯田)強制貯蓄というのは、コロナ禍で使おうと思ったけれど使えなかったから、貯金や預金が積み上がっていた部分のことですね。
高橋)財務省や日銀は「強制貯蓄が自然に溶け始める」と言うのだけれど、自然には溶けないと思います。溶け始めるなら4月はもう少し景気がいいはずだし、既に消費が伸びているはずです。景気を回復させるためには、Go To トラベルなどをやった方がいいと思います。そうしたらコロナ対応策など、すぐに終わります。
飯田)総理官邸筋もそれにはかなり期待しているし、それを理由に財政出動していない。
高橋)「強制貯蓄が溶けて爆発するから、景気対策は少なくていい」というロジックです。そういうことを黒田さんがこの間言っていたのです。値上げを許容できるとか。
飯田)共同通信きさらぎ会の講演で。
高橋)本当はここが問題なのです。「強制貯蓄の爆発を待っているだけなのですか?」「火を点けてそれを引き出すことはしないのですか?」と質問すべきでした。でも全然違うところに意識が向いてしまったでしょう。
飯田)「家計が物価高を容認しているとはどういうことだ!?」と。
高橋)早く需給ギャップを縮めて、強制貯蓄を引き出すような政策を考えるべきなのです。
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