「株式会社丸山製麺」取締役の丸山晃司氏が6月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。コロナ禍で大ヒットした自社の冷凍ラーメン自販機「ヌードルツアーズ」について語った。
創業64年の歴史を持つ「丸山製麺」が冷凍ラーメン自販機「ヌードルツアーズ」を開発
飯田)「丸山製麺」は創業何年くらいなのですか?
丸山)創業64年目の会社です。
飯田)もともと麺をつくるお仕事をずっとやってこられたのですか?
丸山)そうです。逆に言うと62年間ぐらいは、BtoBの製麺しかやっていませんでした。業務用の卸を行う会社なので、この2年間でいきなりBtoCの領域もやり始めたという感じです。
コロナ禍で麺の売り上げが8割減に
飯田)BtoCに移るきっかけはあったのですか?
丸山)コロナ禍ですね。
飯田)ラーメン屋さんの営業ができないことが多くなって、卸もできなくなったということですか?
丸山)そうですね。特に弊社で言うと、もちろんラーメン屋さんへの卸もあるのですが、メインの領域は駅構内の立ち食いそば屋さんであったり、社員食堂さんであったりして、リモートワークの影響が大きい領域の割合が大きかったのです。
飯田)なるほど。一口でコロナ禍の影響といっても、飲食店の業態によってかなりグラデーションがあったのですか?
丸山)そうですね。通勤しないとなった瞬間に駅の売り上げが落ちたり、社員食堂はクローズのところも多かったりしたので、最初の緊急事態宣言では売り上げが8割減になりました。「このまま行くとちょっと」というようなところまでいきましたね。
前職であるマーケティングや事業開発の経験が活きた通販事業
飯田)いままでずっとこの業態でやってきたなかで、いきなり変えることは大変だったのではないですか?
丸山)そうですね。社内でもBtoBの領域以外の仕事をやったことのある人はいなかったですし、そういう意味では大変でしたね。
飯田)丸山さんご自身は、麺に関する仕事以外のこともやっていらっしゃったのですか?
丸山)前職はマーケティングや事業開発、広告などの領域で、そこを辞めたあともスタートアップ企業のマーケティングなどに関わっていました。事業開発のようなことをやってきていたので、「そのなかの1つ」という形で捉えてはいました。
飯田)そのときのノウハウが活きたような感じですか?
丸山)そうですね。いまはBtoCで「ヌードルツアーズ」がメインにはなっているものの、最初は通販からスタートさせたので、前職のやり方やノウハウはある程度、使えたかなと思います。
麺の通販からスタート ~すぐに店舗とのコラボ商品に移行
飯田)最初は通販での対応となると、麺をそのまま生で売るという感じだったのですか?
丸山)麺を通販で売るというのが最初です。通販では「1玉100円」くらいで売っているのですが、家庭では何十玉も頼めないので、5玉を500円に設定したとすると、送料が1000円くらいかかってしまう。ですので、「生麺だけを通販で売るのは厳しいのだろうな」というのがスタートしてすぐに思ったことです。
飯田)次の段階を考え出すのは、それほど時間なく始める感じだったのですか?
丸山)そうですね。2ヵ月くらいだったと思います。そのときに店舗さんとのコラボの商品を売りました。チャーシューを売ったり、餃子を売ったり。どちらかというと、グラム当たりの単価が高いものを少しずつ揃えていった感じでした。
集客についての相談を受けているうちに近くなった「ラーメン屋さんとの距離」
飯田)名だたる有名店を相手にコラボ商品を販売していますが、食べに行って口説いたのですか?
丸山)それには前職が関わっていると思います。ラーメン屋さんの方々もウェブを使って集客したいのですが、自分たちだけではなかなか難しいのです。自分としては製麺店という立ち位置ではあったのですが、ラーメン屋さんからそのような相談は受けていました。
飯田)ラーメン屋さんから。
丸山)「店舗で売る以外の方法はありませんか?」「店舗集客のためにウェブは使えませんか?」という感じで相談を受けていたのです。そんなところから仲良くさせてもらっていたので、結果的にうまく事業に紐づいたのだと思います。
飯田)ある意味、私的な立場でコンサルのようなことをやっていたのが、ビジネスにも結び付いたというような感じですか?
丸山)そうですね。もちろん、もともと狙っていたわけではないですけれど、結果的にはそうなったということですね。
サンデン・リテールシステムの「ど冷えもん」という自販機を使い販売を始めたのが2021年3月
飯田)一方で「ヌードルツアーズ」は自販機で売ることになります。自販機で売るための開発において、ベースとなるものはあったのですか?
丸山)「サンデン・リテールシステム株式会社」の「ど冷えもん」という機種があるのですけれど、うちではそれを使っています。その発売自体が2021年1月なのです。最初のサンデンさんの売りとしては、いままでアイスなどの小さいものを売る自販機はあったけれど、大きいものでも売れるというものでした。そして屋外でも売れるという2つの項目を強みとして、リリースされたのが2021年1月です。とは言え、当時は自販機で冷凍食品が売れるイメージがない状況でした。うちは3月に導入しているので、早いうちに入れたというのがポイントだったかも知れません。
女性に利用者が多い、意外な理由
飯田)コロナ禍の社会の変化で出てきて、形になったではないですか。その後1年経って、コロナ感染の状況が下火になってきていますよね。何か変化はありましたか?
丸山)もちろん「コロナ禍で周りの飲食店がやっていないから、うちで買う」というニーズは減ってきていると思います。ただ、例えばUber Eatsは「コロナ禍で流行ったよね」と言いながら、いまもUberさんや出前館さんで出前を頼んでいるのと一緒で、皆さんの中食として、一定の定着はしているのではないかと思います。
飯田)その意味では、「一人暮らしの男性の食生活」を変えたのではないかと思うのですが。
丸山)実はうちの商品は、男性のお客さんも多いのですけれど、女性も多いのです。やり始めて知った話にはなりますが、お子様が小さいとラーメン屋さんに行きづらいのですよね。
飯田)確かに子どもが小さいと、火傷させてしまう可能性があるので、行けないですよね。特にカウンターだけのラーメン屋さんは。
丸山)東京のラーメン屋さんはカウンターが多いので、皆さんラーメンを食べに行きたくても、お子さんが小さいので我慢されているのです。身近な食べ物の割には敬遠されがちな外食の1つになってしまっていた。それが自宅で体験できるというのは、新しいニーズだなと思いましたね。コロナに関係ないニーズになりますね。
背徳感が強い商品の方が売れる
飯田)ラインナップを見ると、男性が好きそうな「ガッツリ系」もかなりあるではないですか。売れ筋はどのようなものなのですか?
丸山)うちの商品だと「バリ男」という二郎系インスパイアのお店があるのですけれど、リリース当時からある店舗で、いまでも売れています。無人で誰も見ていないシチュエーションなので、「背徳感が強い商品の方が売れやすい」というのが1つの仮説ですね。
飯田)なるほど。背徳感の強い商品が売れる。
今後は各県に1台は置きたい
飯田)今後の展開はどのように考えていらっしゃいますか?
丸山)ヌードルツアーズを始めて1年なので、ブームで終わらずに、文化として残る形でやっていこうと思っています。まだ全国には置けていないので、各県に少なくとも1台は置きたいです。台数も2022年末の時点で150~200台くらいを目指しているので、そこに向けて進んでいる感じですね。
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