自転車王国・栃木県の自転車店「Gufo Cycle Works」オーナー・中里聡史氏が6月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。急激に値上がりしている自転車ビジネスの現状について語った。

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急激な値上がりをする自転車価格　～売れ筋の通勤・通学用クロスバイクで1万4300円の値上がり

自転車はコロナ禍で満員電車に比べると感染リスクが低いということで注目され、2020年は学校の卒業、入学シーズンに来店するお客さんが大きく減ったにも関わらず、自転車販売市場は2100億円以上と過去最高を記録した。それ以外にも、Uber Eats等々自転車を活用したサービスも需要の増加に大きく貢献した。2021年も引き続き市場の販売拡大が続いているが、単価が上がっていて、「単価が上がっても売れている」というのが現状である。

飯田）ここ数年、急激な自転車の値上がりがあるということですが、金額はどのくらい上がっているのですか？

中里）通勤や通学で人気のある「クロスバイク」の場合、5万7200円の車体が7万1500円。金額にすると1万4300円上がっています。

飯田）そのくらい高くなるとインパクトがありますね。

中里）そうですね。

飯田）クロスバイクが売れ筋ということになりますか？

中里）季節柄、3～4月は通勤、通学用にクロスバイクがいちばん売れる時期です。値上げが実際に消費量を減らしている要因にもなっているのではないかと思えるくらい、厳しい状況にはあります。

飯田）都心でもスーツを着て、バックパックのスタイルで乗っている人は見ますよね。

中里）そうなのです。

ロードバイクで5万円以上、「ママチャリ」は1.4倍の値上がり

飯田）一方で休日には、細いタイヤの自転車に乗っていらっしゃる方を見かけます。

中里）「ロードバイク」と呼ばれる、ハンドルが曲がっていてタイヤが細いものです。だいたい21万8900円の車体が26万4000円になっています。

飯田）5万円程度上がっていると。いわゆるママチャリのようなものはいかがですか？

中里）俗に「軽快車」という業界用語があり、車体にもよるのですが、3万3880円が4万7000円に値上がりしています。

飯田）こちらも上がっているのですね。

中里）1.4倍近い金額になっているのです。

値上がりの要因

飯田）値上がりの原因はどういうところにあるのですか？

中里）メーカーさんが言われるのは、原油が上がって、輸送コストが上がったためということです。

飯田）なるほど。

中里）中国でのコンテナの生産も減産したらしいのです。

飯田）コンテナも。

中里）輸送する箱もなければ、輸送コストも上がっていて、情報によると、一時期よりも9倍近く輸送コストが上がっているということです。最近だとウクライナ情勢の影響も出ています。原油の供給量が世界的に減る懸念があるので、需要に対して供給が足りず、値段が上がっていく傾向にあるのではないでしょうか。

ウクライナ情勢の影響で原材料のアルミ価格も高騰

新行市佳アナウンサー）原材料費はいかがですか？

中里）最近はやはり、交通バイクもママチャリもアルミの部品が増えてきているのです。アルミもロシアの産出量が多いので、価格は2年前の2倍くらいの価格で国際的に取引されています。やはり原材料費の高騰によって商品価格が上がっている背景もあると思います。

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スポーツバイクの輸出に関しては台湾がシェアを占めている

飯田）自転車を製造しているところは中国が多いのですか？

中里）『月刊サイクルビジネス』という業界専門誌に、自転車の輸出量の表が毎回載っているのですが、スポーツバイクに関しては台湾がかなりのシェアを占めています。

飯田）台湾もコロナ禍で人の出入りを止めていましたが、ビジネスにも影響はありましたか？

中里）今年（2022年）の4月から台湾でもコロナ感染が増えていて、働ける人が減っているのです。そうすると、人員不足を補うためにコストが膨らんでいくので、今後、その影響から価格がまた上がるのではないかと懸念しています。

さらに続く値上げラッシュ

飯田）値上げラッシュは長引きそうですか？

中里）また来月、再来月くらいに一段と上がる可能性が高いと言われています。ですので、値下がりはまずないでしょう。

飯田）いまおっしゃっていただいた条件を見れば、値下がりは難しそうですね。

スポーツバイクに関しては「ものがない」状態　～注文してもメーカーから入ってこない

飯田）値上げ以外に問題はないのでしょうか？

中里）車種にもよるのですが、いま自転車がないのです。

飯田）自転車がない。

中里）うちも去年（2021年）の9月に注文した車体が現状、1台しか入ってきていない状況にあります。

飯田）1台ですか。

中里）今年に関してはその1台で終わってしまう可能性が高いと、先日メーカーさんから言われたくらい、供給が追いついていないのです。車体によっては、ママチャリのような商品はものが余っている状態にはあるのですが、スポーツバイクと呼ばれるカテゴリーに関しては、ものがない状態です。

「いまあるものを買う」ことが最も安く手に入れる手段

飯田）そんななかでも、安く購入できるようなポイントがあれば教えていただきたいのですが。

中里）自転車がない状態なので、旧モデルの値引きも期待できません。いま取れる手段としては、いまあるものを買うのがいちばん安く買う手段なのかも知れません。

飯田）なるほど。在庫があるうちに買っておけと。

ここへ来て変化する「自転車の楽しみ方」

飯田）私は鉄道が好きなのですが、「B.B.BASE」という車両を取材したときに、自転車を載せられるので、佐原の方まで電車で行き、そこから自転車で霞ヶ浦を1周して、また電車で土浦から帰る、という話を聞きました。

中里）JRさんと連携していて、自転車を載せられる車両が「B.B.BASE」です。

飯田）解体せずに載せられるということですよね？

中里）そうです。土浦駅には星野リゾートさんが運営しているホテルもあるので、自転車と一緒に部屋まで入ることができるのです。

飯田）自転車を愛でながらお酒を飲んだりするのですか？

中里）「盆栽自転車」と言って、盆栽のように美しさを楽しむ方もいるのです。

飯田）「フレームのこの曲がりが違うぞ」ということですか？

中里）そうです。あとは最近、自転車を洗うビジネスも増えています。

飯田）ビジネスなのですか？

中里）チェーン展開されているお店もあるくらい、増えている状態です。自転車を見て楽しむ方がいるので、綺麗に保つコーティングを頼むのです。自転車の楽しみ方が変わってきていると思います。