「マットレスの廃棄問題」に着眼 フランスベッドのマットレス解体システム『MORELIY®』を特集

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ニッポン放送では9月19日(月)〜9月25日(日)にかけて、SDGsの取り組みにスポットを当てた『SDGs WEEK』を実施。それに伴い、現在SDGsに力を入れているベッドメーカー・フランスベッド株式会社(以下、フランスベッド)を取材した。

「1949年創業のベッドメーカー・フランスベッド株式会社」

フランスベッドは、1949年創業。ベッド・マットレス製造の他、介護用品・福祉用具・在宅医療機器の販売・レンタルなど、様々な事業を行っている。各社がSDGsに力を入れている中、フランスベッドでは「マットレスの廃棄」に着眼し持続可能な社会の実現を目指しているという。

編集部が東京・赤坂にある『赤坂ショールーム』を訪れると、そこにはいくつもの高級ベッドが並ぶ、気品あふれる光景が。

「東京・赤坂にある『赤坂ショールーム』内」

その一角にあるスペースにて、執行役員でインテリア事業本部・副本部長の上山直樹氏に話を聞いた。

「執行役員 インテリア事業本部 副本部長 上山直樹氏」

■環境配慮型マットレス解体システム『MORELIY®(モアリー)』とは?

マットレスを買い替える際、古いマットレスの処分に悩んだ経験はないだろうか。マットレスはサイズの大きいものだけに処分が難しく、環境への問題や分別する手間など様々な問題が発生してくる。フランスベッドでは、そうした声に配慮して作られた独自のシステム『MORELIY®』を採用しているという。

───老舗ベッドメーカーでおられる御社が取り組むSDGsの施策として、環境配慮型マットレス解体システム『MORELIY®』があると伺いました。SDGsに関わる独自のシステムとのことですが、こちらについてご説明いただけますか?

上山:弊社は主にベッド・マットレスの製造企業でございますが、『MORELIY®』とはマットレスの解体におけるシステムの名称です。『More recycle(もっとリサイクル)』の造語として命名いたしました。マットレスは「適正処理困難物」に指定されており、使い終わった後の処分が難しい物という課題があります。解体をすることが難しいため、リサイクルしづらいということがありました。そのため、これを如何に簡単に、工具を必要とせず分解させることができるかというところに重点を置き、考えられたシステムなんです。この『MORELIY®』がマットレスのリサイクルの流れをスムーズにすることで環境保全に貢献できたらと考えております。

■『MORELIY®』のシステム

マットレスの各種材料それぞれを分解・独立しやすい構造に設計することで、自身でも容易に解体できるように構築したシステムとなっている。

「独自の解体システム『MORELIY®』を搭載した『ライフトリートメントマットレス』」

マットレスのような大きな物を、素手だけで解体できてしまうとは驚きだ。これならば、処分する際の分別に苦労することはないだろう。一体どのようにして、このようなシステムを可能にしたのだろうか?編集部は、さらに深く話を聞いた。

───自分で工具も使わず解体できるというのはとても画期的なシステムですが、

製作過程で苦労した点や、特にこだわった点などを教えていただけますか?

上山:マットレスの寝心地・耐久性を下げることなく、容易に解体できる仕組みを両立させるため、開発において試行錯誤いたしました。今回の『MORELIY®』は、特殊工法である『プロ・ウォール®』という仕組みを活用して考え出されたのですが、その『プロ・ウォール®』というのは、マットレスのエッジ(縁)を発泡ウレタンで固める技術です。本来マットレスのエッジを固くさせ耐久性を上げる目的の技術を、“解体しやすくする”という逆の方向に活用するというのが、とても難しかったです。

───SDGsに取り組むこととなったきっかけを教えていただけますか?

上山:各市町村のマットレスの処分方法を独自に調べたのですが、全国の自治体の約半分が、マットレスを粗大ゴミとして引き取っていただけないような状態です。引き取っていただける中でも、東京のように粗大ごみ回収依頼のシールを貼れば処分できるということではなく、「素材ごとに分別をして出してください」もしくは「処分場に自ら持ち込んでくれば引き取り可能です」という自治体が、どんどん増えてきています。新しいものをお求めいただくと、10年、15年とお使いいただけますので、現段階でそういったことが起こっていると、15年後にお客様が使い終えられたときに、本当に処分ができるのだろうか?という疑問が出てきます。そのため、少しでも解体しやすく、自ら処分場に持ち込むことになっても乗用車で積めるような、そういう構造体を実現しておこうと考えたのがきっかけです。メーカーとしましては、ただお客様に商品をご提供するというだけではなく、使い終えられたあとの廃棄のことまで考えたものづくりが必要と感じ、SDGsへの取り組みをスタートさせました。

───今後の地球環境を考えた取り組みなどはございますか?

上山:東京の夏も、今年は気温がすごく高くなっていまして、地球温暖化というものを実感させられました。弊社ができることは小さなことかもしれませんが、同じ商品を作る中でも天然素材や再生素材などを積極的に使っていき、二酸化炭素の排出量を少しでも減らすような作り方や素材選びといったところから、取り組んでいきたいと思います。また、今ご紹介しました『MORELIY®』は、主力商品のマットレスにも搭載していますので、持続可能な社会の実現に向けてより多くのお客様に認知していただけるよう進めてまいります。

■環境だけでなく人にも優しいフランスベッドの『ライフトリートメントマットレス』

『MORELIY®』は主力商品の「ライフトリートメントマットレス」にも搭載していると、上山氏から話があった。どのようなものなのか気になった編集部は、その商品についても話を聞くことにした。

───フランスベッドの主力商品にも『MORELIY®』が採用されているとのことですが、主力商品について教えていただけますか。

上山:『ライフトリートメントマットレス』という商品になります。“1人1人に合ったマットレス”というのを開発コンセプトに置きまして、硬さやグレード、サイズをお選びいただけるような仕組みで作りました。由来は、生活の中に潤いを与えるといった意味の『ライフトリートメント』という言葉がありまして、その思いを込めたマットレスとして、『ライフトリートメントマットレス』というシリーズ名となりました。

『ライフトリートメントマットレス』には、除菌機能糸を表生地に採用した『キュリエス・エージー®』が標準装備され、99.9%という非常に高い除菌率を実現。さらに、一本の鋼線で編み込んだ『高密度連続スプリング®』、特殊工法の『プロ・ウォール®』など、使う人への配慮もたくさん詰まっている。

「『ライフトリートメントマットレス』の内部構造」

今回編集部は、その内部に隠された魅力についても尋ねてみることに。すると、世間のイメージとはまるで違う、本当に知っておくべき“ベッド選びの大切な要素”が次々と明らかになった。

───除菌機能をもったマットレスとして、業界初のエコマークを取得されたとお聞きしました。こちらについても、お話を伺えますでしょうか?

上山:“除菌”というと、皆様はウイルスと直結されたイメージを持たれる方が多いかと思います。しかし我々は、抗ウイルスではなく、一般的な寝具の中に存在する菌を抑制する効果を実現しました。寝具の環境を整え、衛生的な環境の中に体を横たえていただきたいという思いで作り出し、“除菌”というところにこだわっています。寝ているときは汗をかきますが、ベッドは干すわけにもいきませんので、できるだけ菌が繁殖しづらい状態にすることが大事と考えています。そうした除菌効果を追求していった結果、マットレス自体に除菌効果を付与することに成功しました。

またこうした除菌効果を持ったマットレスとしては業界初の、エコマークをいただくことができました。

内部へ入ってきた菌に抗う“抗ウイルス”ではなく、菌そのものを排除する“除菌”にこだわった仕組みになっていると語った上山氏。似た意味として誤解されやすい2つの言葉だが、その意味は全く違うものである。また、『ライフトリートメントマットレス』には、スプリングにも大きな秘密があった。

───マットレスのスプリングも独自の『高密度連続スプリング®』を採用しているとのことですが、こちらについてもお話を伺えますでしょうか?

上山:日本国内で販売されているほとんどのマットレスで、袋状の物にバネが入ったポケットコイルが採用されているのですが、我々は敢えて採用せず、『高密度連続スプリング®』を使用しています。これは従来の単純なバネの編み方ではなく複雑な編み方をするため、作れるところがなかなかありません。我々が国内の製造販売権を持たせていただいていたこともあり、フランスベッドは『高密度連続スプリング®』を採用、フランスベッド以外はポケットコイルというのが現状です。

───『高密度連続スプリング®』を採用した理由を教えていただけますか?

上山:ポケットコイルというのは、繋がった袋がある中に1つ1つのバネを入れているのですが、寝ているときはお尻や腰の辺りに体重が掛かるため、バネが単体だと、荷重の掛かった部分のバネだけが潰れることになります。その部分的な落ち込みを、袋の力を借りて軽減したのがポケットコイルという仕組みです。それに対し、バネを続けて編み上げることによって、しっかりと面で受けるようになっているのが、『高密度連続スプリング®』という仕組みです。ポケットコイルの場合、寝汗をかくと袋の中に湿気がこもりやすいですが、袋に入っていないオープンの構造にすることによって、寝汗を短時間で発散させることができます。日本の場合は四季がありますし湿気がありますので、できるだけ通気性を良くすることが大切なのです。

「続けて編み上げることで、面全体で体を支えることのできる『高密度連続スプリング®』(奥の袋に入ったものがポケットコイル)」

───他にもメリットがあるとのことですが、“眠りやすさ”という面でも効果があるのでしょうか?

上山:体の中にある深部体温をグッと下げ一気に眠りに入ることが、いい眠りに入るためのキーポイントになります。そのために大事なのは、汗をかくことです。そのため通気性を重視する意味で、我々は『高密度連続スプリング®』を採用させてもらっています。

───それほど魅力的な物なのですか。これは一度体感したら、もう戻ることはできなそうですね(笑)

上山:ほかのバネのマットレスをお使いになられていて、一番初めの一晩の目覚めは、すごく分かられると思います。私自身も、1日目の寝起きで「こんなに違うのか」と驚きました。研修で教えられたときは、体感していないので半信半疑だったのですが、実際に自分が寝てみて「お~これか!」と実感しました。初めてお使いになられる方は、結構驚かれます。

■フランスベッド独自のシステムによりお客様に合うマットレスをセレクト

これまでの取材の中で、フランスベッドのSDGsへの取り組みや、『MORELIY®』をはじめとする画期的なシステムを、いろいろ知ることができた。最後に編集部は、マットレスを求める際に重要なことを聞いた。

───『ライフトリートメントマットレス』をお使いになるお客様へ、メッセージなどをお聞かせいただけますか?

上山:睡眠に対して、お悩みを持たれている方は結構多いです。枕が合わないという方の中には、百貨店さんなどで売り場にあるベッドに横たわって高さを合わせて買ったら、実際にお家でベッドに合わせたときに全然合わなかったという方がいます。それはなぜかというと、お使いになられている寝具の、体の沈み込み方がそれぞれ違うためです。売り場に置かれているような硬めのベッドお使いの方には合うのですが、ややソフト感のあるマットレスをお使いの方は、全く合わなくなってしまいます。ですので、本来はマットレスと一緒にお選びになられるのが一番合わせやすいのです。

フランスベッドのショールームには、フランスベッド独自のシステム「寝姿勢測定機」が設置してある。マットレスや枕を選ぶ際、お客様1人1人のデータを測定し、1人1人に合った枕やマットレスを提案してくれるという。

ひと通り話し終えると、上山氏は笑顔を見せ、こう語った。

上山:『ライフトリートメントマットレス』もいろいろな種類がありますので、ショールームでお客様1人1人コンサルティングさせていただきます。最後に「ありがとう」って帰っていただけるお客様がいらっしゃるので、満足いただけるお客様をできるだけ増やしたいと思っております。

「お客様の笑顔を増やしたいと話す上山氏」

使い心地の良さはもちろんのこと、環境配慮型マットレス解体システム『MORELIY®』によって分解・独立しやすい構造になっているため、処分する際にも困らない。さらに、SDGsの施策であるこのシステムは、リサイクルもしやすく環境保全にも貢献している。ぜひ一度近くのショールームへ足を運び、フランスベッドの“優しさ”を体感してみてはいかがだろうか。

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