黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月2日放送)に落語家の春風亭一之輔が出演。落語の魅力について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月29日(月)~9月2日(金)のゲストは落語家の春風亭一之輔。5日目は、落語との魅力について---
黒木)師匠は落語の魅力をどのように考えていらっしゃいますか?
一之輔)古典落語には、つまはじきになる人が出てこないですよね。「お前は輪を乱すから入ってくるな」とか、そういうのはないですね。かといって、みんな仲よくというわけでもないし、文句を言いながらも、みんなが同じコミュニティで生きている。
黒木)古典落語の世界では。
一之輔)昔の長屋の関係は「あいつは足引っ張るけど、まあいいや、可哀想だからそこ置いておいてやろうよ」という感じで。そういう、「ついていけない人」でも、ダラダラ言いながらみんなで何となく生きている。そういう魅力はありますよね。
黒木)そうですね。
一之輔)ゆる~く。いまはそういうことがないではないですか。ざっくばらんにみんなで「貧乏なら貧乏で生きていこうよ」とか。そういうよさはあるなと思いますね。内容的には。
黒木)小さいところや「ダラッ」とした雰囲気がお好きなところは、4人兄弟の末っ子でいらして、お姉ちゃんたちにいじられながら、可愛がられながら育ったから?
一之輔)そういうところありますよね。
黒木)お子さんも3人いらして。ほのぼのと暮らしていらして。
一之輔)無理せず生きていますね。おそらく。
黒木)コロナ禍になってYouTube配信もされていますが、落語の可能性は広がっていると感じられますか?
一之輔)1人で着物持ってそこへ伺って、喋ればできてしまうという、そういう強さはありますよね。落語史上、落語家がこんなにバリエーションに富んだ時代はないと思うんですよね。
黒木)いまのように。
一之輔)ぜひ、観に来て、聴きに来ていただきたいですね。自分に合った人を見つけると楽しくなると思います。全員が全員、楽しくなくていいので。「私、この人好き、この人を聴きに行きたい」という人を見つけてもらえればいいかなと思います。
黒木)よくわかります。
一之輔)わかります? そういうもんですよね。
黒木)聴いていると、ずーっと聴いていたくなりますもの。
一之輔)そうなんですよね。
黒木)一之輔師匠なんか、いい声で語られるから、聴き惚れてしまいますけれども。
一之輔)そうですか。ありがとうございます。聞きました皆さん? 黒木瞳が「聴き惚れた」と言ってますよ。
黒木)聴き惚れますよ、笑いながら(笑)。
一之輔)ありがとうございます。
黒木)YouTubeでいろいろ聴かせていただいている最中ですけれども。
一之輔)もう十分ですよ。
黒木)そして、10月28日(金),29日(土),30日(日)は読売大手町ホールで「一之輔~三昼夜ファイナル~」も開催されます。新ネタだそうで。お稽古の方はどうですか?
一之輔)そろそろ覚えないと……いけないですか? まだ大丈夫ですか?(笑)
黒木)コロナ禍のときも、勉強しようと思ったら逆に勉強できなかったということですが。
一之輔)案外と自分が怠け者だってわかりました。休みましたね。
黒木)そうですか(笑)。
一之輔)自分に試練を課すためにYouTubeやってみたり。こういう会もそうですよ。落語の登場人物と同じような感じで、放っておけばいつまでも休んでいるような人間ですので。こういうきっかけはつくらないとね。よかったらおいでいただけると。
黒木)これからの夢を聞かせてください。
一之輔)最終的には1日1回、高座に上がって、15分くらい喋って、家に帰って。夕方からお酒を飲み始めて、夜8時半には寝るという。そういう余生を過ごしたいですね。
黒木)まだまだ先のようですから。
一之輔)案外すぐな気がするのですが。
黒木)いえいえ、まだお若いので。
一之輔)頑張ります。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/ 落語家
■1978年・千葉県生まれ。
■小学校時代の部活動・落語クラブで「弥次郎」を演じる。
■日本大学芸術学部放送学科入学し、すぐに落語研究会に所属。
■大学卒業後、春風亭一朝に入門。春風亭一朝に師事。
前座名は「朝佐久」。2004年、「一之輔」として二つ目昇進。
■NHK新人演芸大賞落語部門大賞、文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞受賞など、
数々の賞を受賞し、2012年、異例の21人抜きの抜擢で真打昇進。
■2012年、2013年に2年連続して国立演芸場花形演芸大賞の大賞を受賞。
■年間900席もの高座をこなしながら、ラジオ・テレビなど多方面に活躍。
■10月28~30日、落語会・独演会『2022落語一之輔~三昼夜ファイナル~』を開催。
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