【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1081回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、絶賛公開中の『線は、僕を描く』と『いつか、いつも……いつまでも。』をご紹介します。
映画館で観たい!『線は、僕を描く』 ~まばゆいほどに瑞々しい、水墨画にかける青春
墨の濃淡と余白が生み出すモノクロームの世界、水墨画。書と絵が融合したこの独特の絵画表現は長い歴史を持ち、東洋が生んだ世界に誇る芸術と言っても過言ではないでしょう。
そんな水墨画に魅了された青年の成長と再生を描いた芸術青春小説「線は、僕を描く」が、待望の実写映画となりました。
『線は、僕を描く』のあらすじ
アルバイト先の絵画展設営現場。そこで大学生の青山霜介は、水墨画と運命の出会いを果たした。白と黒だけで表現された水墨画は、霜介の目には、まるで色鮮やかで壮大な世界が広がっていくように映り、強い衝撃を受ける。
霜介は巨匠・篠田湖山に声をかけられて、水墨画を学び始めることに。初めて触れる水墨画の世界に戸惑いながらも、その魅力に取り憑かれていく霜介。
実は、心の奥底に深い悲しみを抱える彼だったが、水墨画との出会いによって、止まっていた時間が動き出す……。
『線は、僕を描く』のみどころ
主演は、いまもっとも勢いと人気がある俳優のひとり、横浜流星。本作では、水墨画に初挑戦。役作りのために1年以上もの時間をかけて練習を繰り返し、霜介役に挑みました。
筆を持ち、紙に向かう姿はとても凛々しく、同時に水墨画を通じて変化していく主人公の心情を瑞々しく体現しています。
そして水墨画の巨匠・篠田湖山の孫で、霜介のライバルとなる篠田千瑛を演じたのは、若手実力派女優として注目を集める清原果耶。精悍さとしなやかさを併せ持つ、力強い演技と筆さばきは必見です。
共演には細田佳央太、河合優実、富田靖子、江口洋介、三浦友和など、若手からベテランまで豪華なキャストが集結しました。
王道の青春映画でありながら、水墨画の奥深さが伝わってくる本作。
真っ白な紙の上に解き放たれた墨が生み出す唯一無二の世界と向き合うことで、きっとあなたも、この映画に秘められた静かな躍動に心を揺さぶられることでしょう。
芸術の秋。あなたはどんな“自分の線”を思い描きますか?
コチラも映画館で観たい!『いつか、いつも……いつまでも。』 ~ささやかな日常が愛おしい……
小さな診療所で働く医師と、かつて彼が一目惚れした人にそっくりな“こじらせ女子”。偶然の悪戯から、ひとつ屋根の下で暮らすことになった2人の恋の行方をハートウォーミングに綴った『いつか、いつも……いつまでも。』。
どこか懐かしく、幸せな空気感に包まれた本作。その象徴とも呼べる主人公宅の食卓に並ぶ料理の数々は、どれも彩り豊かで美味しそう! 観る者の胃袋を刺激しますよ。
そして、映画初出演を果たしたDJ松永(Creepy Nuts)の好演も見逃さないで。
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『線は、僕を描く』
2022年10月21日(金)から全国東宝系にて公開
出演:横浜流星、清原果耶、細田佳央太、河合優実、矢島健一、夙川アトム、井上想良、富田靖子、江口洋介、三浦友和
主題歌:「くびったけ」yama produced by Vaundy (Sony Music Labels Inc.)
原作:砥上裕將「線は、僕を描く」(講談社文庫)
監督:小泉徳宏
脚本:片岡翔、小泉徳宏
音楽:横山克
企画・プロデューサー:北島直明
配給:東宝
(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
公式サイト https://senboku-movie.jp/
『いつか、いつも……いつまでも。』
大ヒット公開中
出演:高杉真宙、関水渚、水島かおり、小野ゆり子、DJ松永(Creepy Nuts)、佐藤貢三、中島歩、江頭勇哉、芹川藍、石橋蓮司
監督:長崎俊一
脚本:矢沢由美
音楽:江藤直子
主題歌:竹内まりや「幸せの探し方」(ワーナーミュージック・ジャパン)
配給:バンダイナムコフィルムワークス
(C)2022『いつか、いつも……いつまでも。』製作委員会
公式サイト https://itsuitsu-eiga.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/