アメリカ政治に詳しい明治大学教授の海野素央氏が10月24日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。アメリカ中間選挙の注目点の1つとしてアメリカによるウクライナ支援を挙げ、「下院で共和党が多数となれば、ウクライナ支援は継続されなくなる可能性もある」と解説した。
アメリカ政治の行方を左右する中間選挙が11月8日に行われる。世論調査では共和党の優勢が伝えられ、ここにきてトランプ前大統領の存在感が増しているといわれる。注目のアメリカ中間選挙。今後のポイントは何なのか-。
辛坊)アメリカ議会で今、下院は民主党が過半数ですが、今回の中間選挙でそれがひっくり返って、共和党が過半数になりそうなのですね。
海野)下院で共和党が多数となった際に起き得ることとして、アメリカのバイデン大統領は「ウクライナへの支援が継続されないことになるかもしれない」と指摘しています。
イギリスの雑誌「エコノミスト」の調査によると、アメリカ人全体の約2割がウクライナのゼレンスキー大統領に好感を持っていません。これがトランプ前大統領の支持者に限ると約10ポイント上がり、約3割がゼレンスキー大統領に好感を持っていないんです。さらに、アメリカ人全体の2割強がウクライナからの難民受け入れに反対していますが、トランプ前大統領の支持者に限ると約4割にも上るんです。
下院は2年に1度の選挙ですから、非常に近視眼的な見方をする傾向があります。ということは、下院で共和党の力が非常に強くなると、ウクライナに対する軍事・経済・人道支援が今のレベルを保てなくなるかもしれないわけです。
辛坊)それは大きな問題ですね。
海野)ですから、現在のロシアとウクライナの関係は将来の中国と台湾の関係と同じだという観点から、下院は必ず支援を手厚くするだろうと考えるのは、楽観的な見方かもしれません。
辛坊)アメリカ中間選挙は、国際的にも注目しなければなりませんね。
海野)そうなんです。バイデン大統領は、ウクライナ支援について非常に懸念しています。ウクライナ支援はウクライナだけの問題だけではなく、東ヨーロッパ、北大西洋条約機構(NATO)、そして世界全体の問題であるわけですからね。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)