キャスターの辛坊治郎が10月27日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ドイツで娯楽目的の大麻が解禁される見通しとなったことをめぐり、「日本の当たり前は、世界の当たり前ではない」と指摘した。
ドイツのショルツ政権は26日、成人の娯楽目的の大麻の流通と消費を規制付きで解禁する法制化計画案を発表した。ラウターバッハ保健相が発表した計画案によると、個人消費目的の20~30グラムの大麻取得や保持も合法化。私的に自分で大麻草を栽培するのも一定限度で認める。また、現行の関連捜査や刑事手続きは終了することになる。解禁に絡んで特別消費税を導入するほか、大麻に関した教育や乱用防止プログラムを導入するという。
辛坊)驚きましたね。とはいっても、このニュースに関して、私が言いたいことはただ1つです。いいか悪いかではありません。日本で当たり前のことが、世界で当たり前のこととは限らない。世界で当たり前のことが、日本で当たり前のこととは限らない。これだけです。要するに、価値観というものは相対的なものですから、時代とともに変わることもあり得るということです。皆が「絶対」と思っていることが、必ずしも「絶対」ではないかもしれないという想像力も持っていたほうがいいです。そういうニュースです。
例えば、日本の少年法61条。少年事件に関して、事件を犯した本人を推知することができる報道をしてはいけないと定めています。少年法の改正にあたっては、18歳、19歳をどう扱うかが議論になりましたが、今年4月施行の改正少年法で18、19歳の「特定少年」の実名報道を起訴後に可能とすることになりました。とはいえ、少年法61条はそのまま残っています。
一方、世界標準でいうと、たいていの国は18歳で成人とみなしています。また、少年法61条は日本国内では行き渡っているので、「世界の国々も報道しないのは当たり前だ」と多くの日本人は思っているようですが、実は少年だからといって一律に報道しない国はかなり珍しいです。日本で当たり前のことが、世界では当たり前のことではないという一例です。ドイツの娯楽大麻解禁も、日本人が当たり前だと思ってることが、世界では当たり前のことではないということの典型ですね。
それにしても、ドイツはかなり踏み込みました。ショルツ政権は、限定的な量とはいえ、本気で娯楽目的の大麻を認めるようです。ただ、予想はされていました。欧州の多くの国は、その選挙制度の特徴によって連立を組まないと政権を維持することが難しいのです。ショルツ政権も連立政権であり、連立を組む際の協議の中で、政権運営に協力するかわりに大麻の解禁を主張している政党を取り込みました。ですから、政権発足の段階で大麻を解禁するという筋書きは見えていたのです。とはいえ、かなり早いタイミングです。
私も相当驚きましたが、世界の潮流というのはこういうことなのです。日本では、大麻に絡んだ芸能人がワイドショーなどで袋だたきに遭いますが、世界での大麻の扱い方を考えると、私は以前から違和感を持って見てきました。覚醒剤やヘロイン、コカインに絡んだ人と同じような扱いですよね。
何度も申し上げますが、このニュースに関して、私が言いたいことはただ1つです。日本の当たり前が、世界の当たり前だと思わないほうがいい。世界の当たり前が、日本の当たり前だとは限らない。それだけです。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)