国内大手8社が参画する次世代半導体新会社「Rapidus(ラピダス)」への「懸念事項」

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東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が11月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。国内大手企業8社が参画する次世代半導体の新会社「Rapidus(ラピダス)」について解説した。

国内大手8社が参画する次世代半導体新会社「Rapidus(ラピダス)」への「懸念事項」

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国内大手企業8社が参画する次世代半導体の新会社「Rapidus(ラピダス)」

トヨタ自動車、NTT、ソニーグループなど国内企業主要8社が、次世代半導体の国産化に向けた新会社「Rapidus(ラピダス)」を設立したことがわかった。2020年代後半に向け、経済安全保障の観点から重要になっている半導体で製造技術の確立を目指す方針。自動運転やAI、スマートシティといった大量データを瞬時に処理する分野に欠かせない次世代半導体を開発する。

飯田)NEC、ソフトバンク、デンソー、旧東芝メモリ等、名だたる企業が参加しています。こういう動きは経済安全保障上でも重要ですか?

井形)重要です。その一方で、これだけ大きな会社を集めてしまうと、「失敗しました」というわけにはいきません。

飯田)そうですね。

井形)「本当にできるのかな」と心配なところもありますし、「本当に(新会社を設立)する必要があるのだろうか」と疑問に思うところもあります。

飯田)本当に必要かと。

井形)アメリカ、あるいはヨーロッパ、場合によっては台湾など、他の国でつくられたものが安定的に買えるのであれば、それでいいのではないかという意見もあると思います。

飯田)安定的に買えるのであれば。

井形)「それでも自国でつくる必要があるのだ」ということで踏み切ったのでしょう。頑張って欲しいと思います。

「中国に半導体をつくらせない」という戦略を取るアメリカ ~中国に半導体製造装置を売ろうとする国にプレッシャーを掛ける

飯田)アメリカが半導体についての囲い込みをしていますけれども、その辺りの流れも意識しながらということですか?

井形)アメリカは自国を囲い込むだけではなく、とにかく「中国に半導体をつくらせない」というような戦略を取っています。

飯田)中国につくらせないという。

井形)オランダの「ASML」という企業がありますが、そこが最先端の半導体をつくるための機械を中国に売ろうとしたら、アメリカがプレッシャーを掛け、「売るな」として止めたという話があります。

飯田)オランダの企業に対して。

井形)似たようなプレッシャーが、日本企業にも掛かったのではないかという報道もあります。アメリカ、日本、オランダの3ヵ国が中国に半導体製造装置を売らないとなると、他に売る国はほぼありません。

飯田)中国に対して売るところが。

井形)そうなると、中国は自国で最先端の半導体をつくるしかないのですが、いまのところはできていない状況です。

アメリカでの対内直接投資規制と対外投資規制 ~中国の半導体技術を持った関連企業に投資することも規制

飯田)アメリカは自国の企業だけでなく、同盟国にも圧力を掛けてきているのですね。

井形)アメリカはもちろん、中国資本にアメリカの大事な技術を持っている会社を買われてしまうと困るので、「対内直接投資規制」をかなり強くやってきています。その関係で、もちろん半導体も止めてはきたわけです。

飯田)対内直接投資規制。

井形)最近出てきたのが、アメリカ人やアメリカ企業が中国に対する投資を規制しようというような、対外投資規制もやり始めています。

飯田)アメリカ企業が中国に投資することも規制される。

井形)そうなると、中国の半導体の技術を持った関連企業に対して、アメリカ人がお金を入れなくなる。もちろん日本にも「入れるな」という話が出てくるわけです。

飯田)日本にも。

井形)そういう未来が見えているなかで、「日本国内に投資してしまえ」という話が出るのはわからなくはない。一方で、「本当にできるのか」ということが心配です。

「Rapidus」も中国との連携に気を付けなくてはならない

飯田)日本のメーカーも中国との向き合い方に気を付けないと、アメリカから締め出される可能性が出てくる。

井形)今回の新たな「Rapidus」も、最初の時期は中国から部品や技術を買うことが、もしかしたらあるかも知れません。連携するときに「情報が向こうへ流れないか」というところは、しっかりと体制を整えていく必要があります。

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