キャスターの辛坊治郎が11月16日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ポーランドに15日、着弾したロシア製ミサイルがウクライナの迎撃ミサイルだったことについて、「早い段階で分かっていても、アメリカは明かせなかった」と指摘し、その理由を解説した。
ウクライナの国境に近いポーランド東部プシェボドフで15日、ロシア製ミサイルが着弾し2人が死亡したことについて、複数のアメリカ当局者は「ロシアのミサイルを迎撃するためにウクライナ軍が発車したミサイルが着弾したとみられる」との見方を示した。この問題について、先進7カ国(G7)と北大西洋条約機構(NATO)の一部加盟国の首脳らはインドネシア中部バリ島で緊急会合を開き、一致して対応することで合意。また、ポーランド政府による調査を支援する方針も確認した。
辛坊)アメリカはかなり早い段階で、「ロシアが撃ち込んだわけではないだろう」という情報をつかんでいて、その情報はすぐにバイデン大統領へ上がっていたはずです。なぜなら、バイデン大統領は第一報の段階で「ミサイルの軌跡から考えると、ロシアから発射されたとは考えにくい」というふうに言っています。「本当にそんなことが分かるのか」と思われるかもしれませんが、分かるんです。
アメリカは衛星や偵察機を使って、ウクライナはもちろん、NATO加盟国のポーランドも含め、飛び交うミサイルがどこから発射されたかを徹底的に把握しているはずです。ですから、今回の着弾についても、ロシアのミサイルを迎撃しようとしたウクライナのミサイルであるという情報は、かなり早い段階で突き止めていたでしょう。あとは、公にするタイミングを見計らっていたのだと思います。それでも、すぐに明かせなかったのには理由があります。
ミサイル探知能力は国防上も非常に重要な情報です。タイミングしだいで、探知能力をばらすことになりますから、分かってはいても、当初は曖昧にしていたんです。それで、ある程度の時間が経過してから、着弾がウクライナのミサイルだと言及しました。このタイミングですが、仮にロシアが発射したミサイルだったという情報が世界的に広まってしまうと、NATO加盟国などで「なぜ、反撃しない」といった世論につながる可能性があります。そうした声を早めに抑えたいという事情もあったはずです。
今回の結果を招いたのはウクライナの迎撃ミサイルではありますが、2月にロシアがウクライナへ侵攻していなければ、こんなことは起きていません。ですから、結果における責任は全てロシアにあるという目線を失ってはいけないと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)