コロナ禍での「コミュニケーション」を求め、銭湯へ行く若者が急増
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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が11月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。文部科学省が都道府県委員会などに出した「学校給食中の会話可能」の通知について解説した。
学校給食中の会話が可能に
飯田)学校給食の時間、適切な対策を行えば会話が可能になるということですが、ようやくですね。
松井)大人たちは、みんな居酒屋で飲んでいるではないですか。
会話をしないことやマスクを着けていることのデメリットが議論されていない
松井)政策はエビデンスが大事です。感染については、もちろん公衆衛生の専門家の意見を聞かなければいけないけれど、同時に会話をしないことや、ずっとマスクを着用していることのデメリットについて、あまり議論されていません。
飯田)そうですね。
松井)私たちが学生を見ていると、学生側の飲食においても、いまでも黙食をしています。実際は話していますけれども。
飯田)未だに。
松井)コロナ禍が始まってから、もうすぐ3年ではないですか。対面授業を取ることについて「怖い」と言う学生もいます。コミュニケーションに関する障害が出てくる心配もあるので、ようやくという感じです。
教育上、コミュニケーションを取ることも大事
松井)感染の第8波がどうなるのか、よく見なければいけないけれど、人間は本来、会話しながら食事したりコミュニケーションを取るものです。それで他者との関係をつくり上げていくというのは、子どもの教育上、ものすごく大切なことなので、あまり軽視しない方がいいのではないかと思います。
海外に比べて、入国制限の解除も遅れた日本
飯田)お子さんを毎日のように見ている小児科医の方は、マスクを着用し続けていることの弊害を訴えていて、「屋外であれば外していいのではないか」とか、「外遊びでは外していいのではないか」と提案していました。
松井)強硬なマスク外し論者の方がいますよね。「絶対にマスクなんかしないぞ」というノーマスク運動などは極端ですし、単に自分の感染の問題だけでなく、人にうつさないことも含めて、ある種のマナーやルールがあります。「満員電車のなかではつけよう」という意識はあった方がいいとは思います。
飯田)マナーを守りつつ。
松井)しかし、給食を食べる目的は、単に栄養を摂取するということだけではないはずなのです。授業以外で児童がお互いに話をしたり、友人との関係をつくることが大事なので、あまり過度に神経質になりすぎてもいけません。
飯田)そうですね。
松井)どこかで病気と人類は共存しなければいけないところがあって、中国の「ゼロコロナ」のように、作為的に国家が統制してしまうのは、逆に歪な障害があとに残るような気もするのです。
飯田)作為的に国家が統制してしまうと。
松井)日本は全体的に考えても、少し遅いかなという気はします。
飯田)世界と比べると。
松井)留学生も入ってくるのが遅くて、優秀な人材が海外に取られてしまうことが、この1年~2年でありました。少しずつ諸外国の状況など、いろいろなケースを見ながら進めていかなければいけないと思います。
コミュニケーションを求めて若者が銭湯に殺到
飯田)コミュニケーションの価値や、それがつくり出す文化のようなものの価値は実感しづらいのですが、失って「貴重なものだった」と気付くところがあります。
松井)コロナの真っ只中に、銭湯に行く若者が増えたのです。若い人にとって、夜の10時半や11時に開いているのは銭湯だけという時期がありました。銭湯は水蒸気もあるし、多少は飛沫の拡散も少ない。さすがにマスクをしたまま入れないので。
飯田)苦しいですものね。
松井)銭湯に来ている若者を見ていて、人間はそういうものだよなと思いました。コミュニケーションの動物ですし、それが他の動物との違いです。あまり作為的にやりすぎても、本末転倒になるのではないでしょうか。
飯田)銭湯はあの時期も公衆衛生上、開けなければなりませんでしたからね。
松井)銭湯が救いの場になっていました。
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