東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が12月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナ感染症における子どもの重症化について語った。
1月~8月の子どもの死亡数は42人 ~昨年までは3人
飯田浩司アナウンサー)新型コロナに感染する小児が増加しているということですが、亡くなるお子さんの数も増えてきているのでしょうか?
川上)子どもの感染者数が増えるに伴い、亡くなるお子さんも増えています。数字を挙げると昨年(2021年)のいまごろまでは、子どもの死亡者は全体で3人でした。
飯田)昨年までは。
川上)それが今年(2022年)になって、1月~8月には全国で42人のお子さんが亡くなっています。
飯田)いままでと比べると桁が違いますね。決して少なくないと思うのですが、どう捉えればいいですか?
川上)私たち小児科医から見ると、半年で40人も亡くなる病気というのは驚異的な病気です。ただ、一般的に「全国で40人」と考えると、「1つの県で1人」という捉え方もできます。そうすると「少ない」と捉えられてしまうかも知れません。
基礎疾患がなくても重症化するリスクはある
飯田)亡くなったお子さんたちの属性などはわかっているのでしょうか?
川上)亡くなった42人のうち、細かくデータが追えた方は29人いらっしゃいます。その方たちのデータを分析すると、男女比はほぼ同じです。
飯田)男女比は。
川上)基礎疾患があるかないかというのも、どちらも半々いらしたので、「基礎疾患がないからうちの子は大丈夫」とは言えません。
飯田)基礎疾患がなくても重症化するリスクがある。
川上)年齢で見ると0歳が多く、8人です。1歳以上~4歳前後までが6名、5歳~11歳が12名ですので、数字の上では5歳~11歳が多いのですが、「0歳は重症化しやすい」ということは読み取れると思います。それ以外の年齢でも、小学生で体力がついていても大丈夫なわけではない、ということがわかります。
痙攣を起こしたり、水も飲めない場合は救急車を呼ぶ
新行市佳アナウンサー)重症化するということは、お子さんがコロナに罹ったとき、容体が急変する可能性があります。そうなったとき、家族はどうしたらいいのでしょうか?
川上)「いつもと違う、ただの風邪ではないようだ」というときには、保健所に連絡したり、もちろんかかりつけ医にもご相談いただくのがよいと思います。痙攣を起こしたり、お水も全然飲めなくてぐったりしている場合は、救急車を呼んでいただいてもいいと思います。
飯田)いつもそばにいるご家族が、いちばん早く異変に気付けるわけですものね。「大したことはない」で済ませない方がよいということですか?
川上)そうですね、遠慮しなくていいです。
子どもの場合、重症化を防ぐにはワクチンを接種する以外に方法はない
飯田)予防の部分としては、マスクや手洗いが大事になってきますか?
川上)基本はそうですね。ただ、実は子どもに使える薬がないのです。
飯田)そうなのですね。
川上)子どものコロナ感染は95%が軽症で、治療には解熱剤を使ったり、症状に応じて咳止めを使うなどの方法しかありません。重症化を防ぐには、現時点ではワクチンしかないと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます