次期日銀総裁候補について「一般論として女性の可能性もある」 木原官房副長官の発言の意図

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前日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が12月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。次期日銀総裁候補について解説した。

次期日銀総裁候補について「一般論として女性の可能性もある」 木原官房副長官の発言の意図

会見する木原誠二官房副長官=2022年7月6日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

次期日銀総裁候補

2023年4月に任期満了を迎える日本銀行の黒田総裁の後任について、政府の木原官房副長官はブルームバーグのインタビューで「現副総裁の雨宮正佳氏と前副総裁の中曽宏氏が総裁候補か?」との問いに対し、「両者ともに資質があり、金融政策の歴史に精通している」と語った。ただ、「候補がこの2人だけとは思っていない」とも述べた。

報道に対して「雨宮現副総裁が総裁に難色を示しているわけではない」と否定する意味も

飯田)……と言いながら、日銀総裁の職務を遂行できる人材はそれほど多くないと。「2~3人ではないが、20~30人いるとも思わない」と語ったということです。このタイミングでどうなのでしょうか?

片岡)最近、「雨宮現副総裁が、総裁になるという話に対して難色を示している」というような報道があり、「別の方が候補なのではないか」という議論もありました。そのため、雨宮さんと中曽さんだけではないのではないか、という観測気球が上がっていました。

飯田)そうですね。

片岡)その報道に対して「いやいや、そういうわけでもない」という話をされたということが、まず1つあると思います。

「一般論として女性の可能性もある」と言った発言の意図

片岡)あとは、一般論として女性の可能性もある、という旨の発言もしています。

飯田)一般論として。

片岡)「一般論として」と言う場合には、「言いたいことを言うケース」が多いのです。私も審議委員のときはそうでした。

飯田)一般論としてという発言が。

片岡)わざわざ言わなくてもよいことを「一般論として」と言うわけですから、そこには意図があるわけです。

飯田)意図がある。

片岡)「女性も候補の1人ですよ」という意識を明確に送ったのだと思います。

このタイミングで木原官房副長官がインタビューに答えた理由 ~一定方向のバイアスを掛けようという流れか

片岡)木原官房副長官がこのタイミングでこういうインタビューに答えるのが、「本当にいいことなのかな」とも感じます。

飯田)4月で任期満了となり、かつ日銀正副総裁人事は国会での同意が必要であることを考えると、次の国会で具体的な名前が提出されなければならない。まさにいまこのタイミングは、「誰にするか」、「それによってどういう市場が反応するか」というところを見極めなければなりません。こういうインタビューに答えると、予断を与えますよね。

片岡)そうですね。一定方向のバイアスというか、そういう空気を醸成しようという流れなのかも知れません。水面下で総裁や副総裁の候補の方には打診されているのではないかと思います。

飯田)水面下では。

片岡)政権運営等々ありますけれども、来年(2023年)1月のタイミングで同意人事が出てくるのでしょう。そういうことを考えると、大詰めの時期でこの発言が出てきたことについては、私自身も考えこんでしまいます。

次期日銀総裁は「失敗が許されない総裁」 ~日銀プロパーが総裁ないしは中枢の位置を占めるということは責任重大なこと

飯田)黒田総裁の先をどうするかというところで、いろいろなファクターがありますけれど、黒田さんはもともと財務省のご出身で財務官も務めていた。そう考えると、「次は日銀プロパーでいくのか」という話です。あるいはこの先、「黒田バズーカ」と呼ばれる緩和をどうするのかという議論など、いろいろなものが絡んできますからね。

片岡)経済状況も非常に微妙ですし、政策をどうするのかという転換点にも立ってくると思います。その判断を必要とされる時期だと思います。

失敗したら日銀プロパーの芽は永遠になくなる可能性も

片岡)そういう意味では、「失敗が許されない総裁」だと思います。そのような状況のときに日銀プロパーの方が総裁になる、ないしは副総裁としても中枢の位置を占めることになると、非常に責任重大です。

飯田)日銀プロパーの方が総裁になることは。

片岡)ここ20年くらいの日銀の歴史を振り返ると、率直に言って失敗の歴史なわけです。ですから、さらに失敗を重ねないようにしなければならない。ここで失敗したら、日銀プロパーの芽は永遠になくなる可能性もあるので、責任重大です。

財務省出身のOBは副総裁で次の総裁を目指すのでは

飯田)特にインフレに対しての戦いはうまく行う歴史のある日銀ですが、デフレのときの引き締めの早さたるやと。「そこで成長の芽を摘んでしまったのではないか」という批判は常にあります。

片岡)タイミングが悪く、財政・金融ともに引き締めてダメになったことは過去にも多々あります。そういう失敗を繰り返さないような方が、どこの出身かに関わらず必要なのだと思います。

飯田)どこの出身かに関わらず。

片岡)財務省ご出身のOBの方は副総裁で、ある意味、その次のタイミングです。次の5年を目指して総裁になろうという算段で、今回決めるのではないかという気がします。これは私自身の個人的な感想です。

飯田)いずれにせよ市場に与えるインパクトを考えると、というところですよね。

片岡)来年の鬼門のうちの1つですね。

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