台湾有事の際、アメリカはどこまで踏み込むのか ~日本はどう対応するのか

By -  公開:  更新:

ジャーナリストの佐々木俊尚と筑波大学教授の東野篤子が12月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。台湾の蔡英文総統と欧州議会国際貿易委員会の訪問団との会談について解説した。

台湾有事の際、アメリカはどこまで踏み込むのか ~日本はどう対応するのか

2022年11月13日、日米首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/13asean.html)

台湾の蔡総統、EU訪問団と会談

台湾の蔡英文総統は12月20日、欧州議会国際貿易委員会(INTA)の訪問団と台北市の総統府で会談し、台湾と欧州連合(EU)のパートナー関係のさらなる深化に期待を寄せた。訪問団の団長を務めるアシマコプロウ副委員長は、台湾と中国関係の現状は一方的に変更されるべきではないとし、武力や武力使用の脅しで現状を変える行為に反対を表明した。

台湾との関係構築に力を入れる欧州議会

飯田)ヨーロッパの超党派議員団の訪問であり、今回は13人の御一行だそうです。ヨーロッパからの訪問が最近、何度か報道されています。

東野)欧州議会国際貿易委員会(INTA)自体は初めてなのですが、欧州議会は欧州連合(EU)のなかでも、台湾との関係構築に一生懸命なのです。欧州議会のなかの対台湾親交グループが台湾を訪問するのは、実は数年前から活発化していて、中国も神経を尖らせているという構図でした。

佐々木)ドイツなどもそうですが、中国との経済的つながりが密接になって、ヨーロッパ全体が中国寄りになっている時期がありました。そして日本だけが孤立していた雰囲気があったのですが、今回のウクライナ侵攻のあおりもあってか、ヨーロッパの目が東アジアの安全保障に向いています。日本、イギリス、イタリアによる次期戦闘機の共同開発などもあり、徐々に太平洋の方に目が向いてきているのはありがたいですね。

香港や新疆ウイグル自治区の問題から、中国との「包括的投資協定」を凍結したEU ~中国の代わりとして存在感を増す台湾

東野)その揺り戻しもあって、2021年には欧州連合(EU)と中国の対立が明らかになりました。代わりに、EUと台湾の関係を強化していくべきだという議論があったのです。

飯田)2021年に。

東野)2021年5月には、EUと中国が結ぶ直前だった「包括的投資協定」があるのですが、欧州議会の手で凍結させてしまったのです。香港や新疆ウイグル自治区の問題が深刻になり、中国と投資協定を結ぶことはできないということになった。

飯田)人権問題によって。

東野)それまで台湾との間で投資協定を結ぼうという動きは、そこまで大きくなかったのですが、中国との投資協定を凍結した直後くらいから、「中国ではなく、価値などを共有している台湾との関係を優先するべきではないか」という議論になったのです。

飯田)台湾と。

東野)しかし、ウクライナ戦争が始まり、中国よりもロシアに目が向いてしまっています。中国との関係はこれまで通り警戒を強めつつ、代わりとなるパートナーとして台湾の存在が、1つの大きな方向性としてあるのではないでしょうか。

台湾有事が起きた際、アメリカはどこまで踏み込むのか ~日本はそれに合わせてどう対応するのか

飯田)台湾へはアメリカからも議員が行っていますが、ヨーロッパからも訪れている。日本からもこの間、萩生田光一政調会長が行きましたが、大きな規模のものは聞こえてきません。

佐々木)実際に台湾有事が起きた際、「台湾は国ではない」というところで、どのように対応するのでしょうか?

飯田)台湾有事が起きた際に。

佐々木)アメリカは台湾に関する法律を持っているので、兵器を供与するだろうけれど、参戦するのかどうかはわかりません。ウクライナに対して行っているように、「台湾に住んでいる人たちにお任せします」とし、兵器を供与するという形になるのか。それとも中国に対して構えるのか、そこまで踏み込むのか。それに合わせて日本がどう対応するのかは難しいところですね。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top