黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(12月28日放送)に青山学院大学陸上競技部監督の原晋が出演。箱根駅伝の様々な“局面”について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。12月26日(月)~12月30日(金)のゲストは青山学院大学陸上競技部監督の原晋。3日目は、箱根駅伝にまつわるドラマについて---
黒木)2022年は青学大が優勝なさって、原監督の胴上げを拝見しました。そのあとに、10位以内のシード権争い。あそこもドキドキハラハラしますね。
原)箱根駅伝は2度美味しいどころか3度美味しい。往路の戦いもございます。復路の戦いもございます。そして優勝争いの戦いございます。さらにはシード権争いがございます。だから4度美味しい。いろいろな局面でドラマがあるのですよね。
黒木)そうですよね。拝見していると、タスキを渡したあとに倒れ込む選手もいらっしゃれば、まだ元気、走れるみたいな選手もいらっしゃるじゃないですか。あの違いというのは何ですか。
原)これ、ぜひ感じてほしいのですが、トップで走っている子は、タスキ渡しは笑顔でまだまだ余力があります。元気ですから調子がいいからなのです。逆に、最後に走る子は、これまた諦めていますから、自分を追い込んでいませんから、割とテンションは下がっているのですが、スッといくのです。2番、3番とかシード権争いをガチャガチャしているところの選手は一生懸命やっていますから、倒れ込むことが多いです。
黒木)ああ。そういうことなのですね。
原)順番によって統計が出ると思います。
黒木)速く走っている方の方が倒れ込むのかなと思いがちですが、そうではないのですね。
原)駅伝だけでなく、マラソン大会もご覧いただければ、優勝している人は満面の笑みでまだまだ走れるという感じではないですか。
黒木)そうなのですよ。後から来たからの方が倒れ込んだりなさります。
原)それだけ調子がよかったということなのです。
黒木)後ろから声をかけられるではないですか。それは、その方に届くことをおっしゃっているのですか。
原)私はどちらかと言えばプラスの面を言います。「だめだ。これでは区間賞とれないぞ」ではなく、「区間賞で行っているぞ。あと5秒で行ったら区間賞とれるぞ」と、手が届きそうな目標を掲げてテンション高く声をかけます。頑張ると思います。
黒木)あとお水ですか。同じ部員の方々が渡して、タスキ渡しだけではなく、部員たちの絆みたいなものも胸を打ちますよね。
原)それが学生スポーツなのでしょうね。寮生活を1年生から4年生で、先輩のためとか、あるいは先輩は後輩のためとか。家族というか、兄弟ですから。やはり、24時間同じ屋根の下で生活し、5時から起きて、朝ごはん、夕食も一緒に食べて、お風呂も入り、そういった擬似家族の体験、兄弟としての体験、そして時にはライバル。そういったような形での生活をしているからこそ、箱根駅伝の舞台でも「4年生のために勝たせてあげたい」「下級生のためにシードというお土産を渡したい」それが表現されるのが箱根駅伝の舞台だと思います。
黒木)そういう意味でも絆がチーム力になっていくのですか。
原)箱根駅伝は20キロを超えますから、長いですから。けっこう辛いものなのです。途中苦しくなったときに諦めないのはそういうふうに先輩たちの思いや後輩たちの思いがあるからこそ頑張れるのだと思います。実際に関東学連選抜チーム。非常にメンバーはタイム的には揃っているのですが、なかなか上位に来れないのです。苦しくなったときに、もうひと踏ん張りというのが難しくなるというのがデータ的に出ています。
黒木)なるほど。でも、応援してあげたいしというところがあって。
原)彼たちには彼たちのドラマがあってですね。箱根駅伝チームとして出られなかった次点のチームが1位大学から1人ずつ出てくるのですが、「次は自分のチームで出るぞ」という思い。そういうものもありますし。個人としてのチャレンジでもあります。一人一人、1チーム1チームにドラマがあるのです。
黒木)なるほど。ありがとうございます。すぐなので。監督、ここで喋っている場合ではないのではないですか。
原)私は黒木さんとお会いできてこれだけで私のテンションが上がります。
黒木)監督のテンションも上げないとね。
原)監督がしょぼくれているようでは、チームはテンションが上がりませんから。監督が不安な状態で箱根駅伝当日、スタートラインに立っていたら、テンションが下がっているようでは上がっていきませんからね。
黒木)では1月2日はすごくテンションが上がっていますね。
原)パワフルでいきたいと思います。
黒木)楽しみです。
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原晋(はら・すすむ)/ 青山学院大学陸上競技部監督
■1967年 広島県三原市出身。
■中学時代に陸上を始め、1984年、世羅高校3年時に主将として全国高校駅伝2位。
■中京大学に進学し、3年時に日本インカレ5000メートル3位。
■1989年、中国電力に入社。中国電力陸上競技部1期生として部の創設に参加。
■1993年、主将として全日本実業団駅伝に初出場。
■5年目の1995年、27歳のとき、故障が原因で競技生活を引退。その後10年間、中国電力でサラリーマン生活を送る。
■知人の紹介により、2004年、青山学院大学陸上競技部監督に就任。
■2009年、青山学院大学を33年ぶりに箱根駅伝出場に導く。
■2015年、青山学院大学初となる箱根駅伝総合優勝を達成。
■2017年には箱根駅伝3連覇に加え、大学3大駅伝である出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の優勝により、大学駅伝3冠を達成した。
■2018年、史上6校目となる箱根駅伝4連覇を達成。
■2019年4月より青山学院大学の地球社会共生学部の教授を務める。
■2022年箱根駅伝2年ぶり6回目の総合優勝を達成。
■2022年は出雲駅伝4位、全日本大学駅伝3位。2023年の箱根駅伝では2年連続7度目の総合優勝を目指す。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳