土田晃之がパーソナリティ、新内眞衣がパートナーを務めるラジオ番組『土田晃之 日曜のへそ』(ニッポン放送・毎週日曜12時~)の1月15日(日)の放送の中で、今後の宇宙時代を見据えた容器メーカーの開発に唸る場面があった。
同番組内で放送中のコーナー『宇宙のへそ』では、毎週、つい「へーそーなんだ!」と言いたくなる宇宙ニュースや宇宙雑学を紹介しているが、この日は、容器メーカーの東洋製罐グループホールディングス株式会社が開発した宇宙空間の生活をシミュレーションできる段ボール製のドーム型テントについて取り上げた。
番組では、東洋製罐グループホールディングス株式会社・イノベーション推進室の三木逸平氏が電話出演し、開発のきっかけや使い方などを解説した。まずは、東洋製罐グループホールディングス株式会社がどういう会社なのかについて――
新内:まずは、東洋製罐グループホールディングス株式会社について、どんな会社なのか教えて頂けますか?
三木:東洋製罐グループは、缶やペットボトル、ガラス瓶などの飲み物や食品、また洗剤やスプレーなどの生活用品を包む包装容器を製造・販売している容器メーカーです。
そんな容器メーカーが開発した宇宙空間の生活をシミュレーションできる段ボール製のドーム型テントとは一体、どんなものなのか?
新内:今回、宇宙空間の生活をシミュレーションできる段ボール製のドーム型テントを開発したということなのですが、詳しく教えて頂けますか?
三木:東洋製罐グループでは、缶やボトル以外にもダンボールなどの紙の容器も製造しています。今回ダンボールを利用して、ネジや釘などを一切使わずに作ることができる「人を包む容器」、通称『DAN DAN DOME(ダンダンドーム)』をNPO法人フィールドアシスタントさんと共同で開発しました。直径3.6m、高さが3mのドームが人の手だけで組み立てられます。一緒に開発したNPO法人フィールドアシスタントさんが引退した南極観測船を使って、模擬宇宙船生活実験などを行っており、その知見から今回はこの『DAN DAN DOME』を使って、宇宙での生活を検証する取り組みを始めました。
一見、宇宙とは関係がなさそうな“容器メーカー”がなぜ、そのようなものを開発するに至ったのか――
三木:最近では、選抜された宇宙飛行士だけじゃなくて民間人の方が宇宙に行ったり、アポロ11号以来の月面着陸を目指す「アルテミス計画」が進行しています。近い将来、人は宇宙へ行くだけではなくて、(宇宙で)生活をする時代が来ると言われているんですね。宇宙へ行くための検証と生活をする検証は大きく異なりますが、検証するための施設は、大きな費用や時間、コストが必要になってしまうので、ダンボールを使った『DAN DAN DOME』でその課題が解決できるのでは、と考えています。
新内:ちなみに東洋製罐さんは他にも宇宙に縁のある商品を発売したことがあるんですよね。
三木:そうですね。実は月面着陸を初めて成功させたアポロ11号にも載っていたのが、レトルトパウチなんですね。元々、このレトルトパウチは宇宙開発や軍事用に開発されていたんですけども、世界で初めて家庭用のレトルトパウチを開発したのが東洋製罐グループなんです。
段ボール製の『DAN DAN DOME』では、一体、どんな宇宙生活をシミュレーションすることが出来るのか――
新内:宇宙空間の生活をシミュレーションできるということなんですが、具体的にはどんなシミュレーションができるんでしょうか?
三木:直径3.6mのドームを、これまたダンボールでできた別のパーツで繋ぐことができて、そこで仕事をする部屋、共有スペース、食堂など、それぞれの空間を作ることができます。例えば食事をする場面で、地球上では、毎日納豆を食べていた人が宇宙では(納豆を)食べられないとどんなストレスを感じてしまうのかなど、些細なことでも想定外のことが起きてしまうんですね。これは、ほんの一例ではあるんですけれでも、そういった生活をするときのリスクを検証するには、本当に色々なシーンでの検証が必要になるので、一度作って、そのフィードバックをして、また何か違うと思ったらまた変えて検証するというのができるのがダンボールだからこその柔軟性と拡張性だと思っています。
コーナーの最後に新内から「東洋製罐さんのように一見、宇宙に関係していないような企業が今後もどんどん宇宙関連の商品などの開発に力を入れていくことが必要になってくるんでしょうか?」と質問されると三木氏は「東洋製罐グループは年間約500億個の容器を作っているんですね」と前置きしながら「それだけ社会のインフラとしての価値を担っているんですけど、一方で、使い終わった容器はゴミになってしまうんですね。私たちが宇宙を目指す理由の一つとして、完全に循環ができる容器と仕組み作りというテーマがあります。宇宙では、良い意味で逃げ場がなくて、地球よりもたくさんの課題が存在するので、私達のような民間企業が積極的に取り組むことで、実はですね、地球上の課題も解決できるようになると思います」と答えた。この三木氏の答えに土田も思わず「究極のSDGsですね」と唸った。