トルコで医療支援活動を行う「TMAT」の當麻俊彦氏が2月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。現地・トルコでの救援活動の現状について語った。
トルコ・シリア大地震で求められる医療とは
トルコ南部のシリア国境付近で2月6日に大地震が発生してから20日で2週間となり、トルコでは特に被害が大きかった一部の地域を除いて捜索活動が終了した。トルコ・シリアでこれまでに死亡が確認されたのは4万6000人を超え、トルコ政府によると100万人以上がテントなどでの避難生活を続けている。
2月8日に現地に入ったTMATの先遣隊
飯田)當麻さんは医師としてトルコに入られていますが、現地でTMATはいつごろから、どのぐらいの規模で活動しているのでしょうか?
當麻)2月8日から調査隊として先遣隊が入りました。本隊は12日に第1陣が現地へ入って診療を開始し、我々第2陣は18日から始めさせていただきました。
飯田)発災が6日でしたから、一報を受けて先遣隊の方々はすぐに飛び出したということですか?
當麻)そうですね。
震源地に近いオスマニエで救援活動
飯田)當麻さんがいま活動されているのは、どの辺りでしょうか?
當麻)トルコの都市アダナに宿泊しているのですが、そこから東に100キロぐらいのオスマニエにある、バーチェで救援活動しています。
飯田)アダナはトルコ南部の地中海に面したところから、少し内陸に入った地域です。オスマニエは地中海の突き当たり、いちばん奥の付近で、より震源に近い位置ですね。
當麻)震源から近いところにあります。
時間の経過によって内科的な疾患を患う人が多くなってきている
飯田)最初の大きな地震が起こってから、既に2週間以上が経過しています。時間の経過に伴って医療的なニーズも変わってくるのですか?
當麻)地震が起こった当初は、地震が原因で瓦礫によってケガをした、挟まれたというような外傷が多かったのですが、時間が経過すると地震が直接的なきっかけになったケガよりも、内科的な呼吸器疾患・風邪・喘息・熱などが増えてきています。
機能が停止した病院の前の仮設診療所で医療活動を行っている
飯田)映像などで報道されているところを見ると、かなり広範囲で建物が崩壊してしまっていますが、医療活動はどこで行っているのでしょうか? 病院などで活動しているのですか?
當麻)地震によって機能がストップしてしまった病院があるのですが、その前の広場に仮設診療所がつくられていたので、そこを間借りして診療している状況です。
飯田)建物もかなり危険な状態になっていますか?
當麻)いまは病院の建物に対して耐震検査が行われ、「オッケーが出れば再開できるかな」とそこの院長は話していました。
現地医療チームと連携して診療
飯田)現地の医療機関や各国の支援が入っていると思いますが、その辺りの連携はどうなっているのですか?
當麻)我々が現地に入ったときは、日本の「災害派遣医療チーム(DMAT)」のような組織であるトルコの「UMKE」が既に入り、そちらのチームの医師が診療を担当していました。その場所を借りて診療していますが、なかなかトルコ語が通じないところがあるので、我々はどちらかと言うと外科的な疾患を中心に、ケガの処置などを行っています。トルコのチームは主に内科系や小児科系を診るような形で棲み分けしている状況です。
飯田)現地の医療チームと。
當麻)いまは状況が落ち着いたのでUMKEが撤退し、現在は病院の職員と連携してきょう(22日)から診療を再開しているところです。
パンケーキのように重なって崩れてしまうトルコの建物
飯田)當麻さんからご覧になって、今回のTMATの活動で特徴的なことや、他の災害と違うところなど、お気づきの点はあるでしょうか?
當麻)以前、ハイチ地震のときも見たのですが、やはり建物ですね。「グシャッ」と完全に潰れていたり、柱がダメになってしまい、床面だけがパンケーキのように重なっていく崩れ方をしているものが多い印象です。
飯田)そうですね。
當麻)他に印象的なことで言うと、被災された患者さんに3~5歳ぐらいの女の子がいまして、お父さんに抱っこされた状態で被災し、右腕が切断されていました。私たちが傷の処置を引き継がせてもらっているのですが、その子が非常に愛らしいというか健気というか。私たちも最初は身につまされるところがあったのですが、その子の笑顔で本当に救われましたし、元気を貰いました。
医療支援から復興支援の段階にきている
飯田)今後、どんな支援が必要になるでしょうか?
當麻)今後は医療支援というより、復興支援に軸足を置いていく必要があると思います。我々が行っている緊急医療支援は、そろそろ終わりの形に持っていかなければならないのかなと思います。そういう時期にきているのではないでしょうか。
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