脳が老けやすい「家」の意外な特徴とは 研究調査した専門家が解説

By -  公開:  更新:

3月1日(水)、日本で「住宅と健康」の調査研究のトップランナーとして知られる、慶應義塾大学理工学部・伊香賀俊治先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)にゲスト出演。「住宅と健康」をテーマに、室温や湿度が私たちの健康に与える影響について解説した。

脳が老けやすい「家」の意外な特徴とは 研究調査した専門家が解説

住宅が「健康」に影響を与えることをご存知だろうか。特に重要なのが「室温」で、世界保健機関WHOは2018年、「冬の室内は18度以上」を強く勧告。冬季に温かい家、具体的には18度以上を保つことで、生活習慣病のリスクが低下し、脳も若く保てたり、睡眠の質がよくなったりというエビデンスが多く得られている。

■寒い家に住む子どもは「病欠率」が高くなる

笹井:子どもにも、室温と湿度が重要だということが、先生の研究グループの調べで分かったそうですね。

伊香賀先生:幼稚園の調査をかなりの数で行い、幼稚園の室温測定と合わせて、自宅にも温度計を持ち帰ってもらったところ、通っている幼稚園がちょっと寒めで、自宅もちょっと寒めのお子さんは、病欠が2.6倍も多かったのです。

幼稚園は温かいけど、自宅が寒いなど、どちらか片方が寒い場合でも、病欠が1.6倍多いという結果が出ました。

高齢者にも寒い家はよくなく、血圧も上がることが研究調査で分かっています。寒い家は、小さいお子さんにも悪さをします。寒いのを我慢しないで、少し温かめの暮らしをすることが、高齢者や子どもの健康に有効だと言えます。

■室内の乾燥が「仕事」や「睡眠」にも影響する

伊香賀先生:介護施設での調査を行ったところ、総体湿度が40%を下回るような施設で働いていた介護職員さんは、まばたきの回数が増え、眠気、だるさを訴える人が多い、ということが明らかになりました。

笹井:また、先生の研究グループの調査では、乾燥は睡眠にも影響することが分かったそうですね。

伊香賀先生:自宅の寝室が乾燥していると、睡眠の質が悪くなり、途中でちょこちょこ目が覚めてしまう、いびきをかきやすいことが分かりました。中途覚醒する率が約3倍高まり、いびきをかく確率も1.6倍高くなります。

笹井:室温と湿度が一緒になった室温計が、最近は低価格で手に入ると思うので、ぜひ自宅に置いてみてほしいですね。

■寒い家で暮らすと「脳」が老けやすい

笹井:「室温」は「脳神経」とも関係があるそうですね。

伊香賀先生:私たちの研究グループで、高知県梼原町の住民の方々にお声掛けをして脳ドック検診を受けていただきました。追跡調査をすると、室温が低めの家に住む方は、脳の容積がちょっと小さめ、萎縮気味だったのです。

笹井:それはショックですね。

伊香賀先生:それから2年後、5年後に再度、脳ドック検診を受けていただいたところ、温かい家の人の脳はほとんど変化がないんですが、寒い家の人は縮み方が激しい、という結果となりました。実年齢以上に脳がより老けていくことも、明らかになりました。

笹井:「脳が老ける」と聞くと『部屋を温かくしなければいけないな』と思いますね。

私たちは一日の大半を室内で過ごしているので、室内環境は大事ですよね。日本人はどうしても、寒さ・暑さに耐えることが美徳という感じがありますが、耐えることで作業効率が上がった、健康になったというエビデンスは無いんです。

最近は子ども達が活動する学校も、快適な環境で運動する取り組みをしている所もあるので、少しでも居心地のいい空間を整えてほしいですね。

 

この他にも番組では、具体的に部屋を温かく保つための方法、室温が「血圧」や「活動量」に影響することも解説した。

Podcastでの聴取はこちらから。

番組情報

ドクターズボイス

毎週水曜日 21:00〜21:20

番組HP

「週刊文春 老けない最強食」の著者・笹井恵里子がパーソナリティを務める番組「徳洲会グループpresents ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」
この番組は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念のもと全国70以上の医療機関を有する徳洲会グループのサポートでお送りします。
毎週ホットなテーマを設け、各専門分野のドクターをゲストに迎えて、そのメカニズムや対処法を分かりやすく伝えていきます。
番組では、感想や取り上げて欲しいテーマなどお待ちしております。

Page top