2月8日（水）、信州大学医学部特任教授の能勢博先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る！〜」（ニッポン放送・毎週水曜21時～21時20分）にリモートでゲスト出演。これまで1万人以上に運動指導を行なってきた能勢博先生が、「筋力が向上する歩き方」をテーマに、7つの筋肉減少のサイン、体が10歳若返る歩き方、運動後におすすめの飲み物などについて解説した。

筋肉は20代をピークに30歳過ぎから毎年約1％ずつ減少し、10年でおよそ1割減るといわれている。しかし、脂肪は減らないため、運動習慣がない人は、たとえ見た目の体型が変わらなくても、中身は筋肉量が大幅に減少し、脂肪がそのぶん増えている。

しかも、たとえ一日一万歩歩いたとしても、適切なやりかたで運動をしないと、筋力は低下してしまうという。どうすれば、筋肉量を維持できるのか。

■7つの「筋肉減少のサイン」

筋肉が減少しているのは、なかなか気づかないもの。一つでもあてはまる人は、後で紹介する「筋肉が向上する歩き方」を身につけましょう！

（1）階段を上ると息が切れる

（2）15分以上歩いていると休憩したくなる

（3）疲れやすい、だるい、疲れが抜けない

（4）電車やバスで立っていると揺れでよろけることが多くなった

（5）歩いていると同世代の人に抜かれる

（6）片足立ちで靴下をはけない

（7）電車やバスで空いている席をすぐ探してしまう

■筋肉が向上する歩き方

笹井：先生、筋肉が向上する歩き方を教えてください。

能勢先生：本人が『ややきつい』と感じる歩き方をしないとダメなんです。

笹井：ただただ歩いてもダメ、ということですね。

能勢先生：そうなんです、楽な歩き方をどれだけしてもダメです。この、“ややきつい”というレベルですが、最大10点満点としたら、6～ 7点ぐらいの速さです。

私たちが推奨しているのは、「3分間“速歩き”」をしたら「3分間ゆっくり歩く」、これを1日5セットぐらい。これで速歩きを合計15分したことになります。それを週4日やってほしいです。そうすれば、１週間で60分早歩きしたことになります。

笹井：その、ややきつい速歩きの感覚や、なにか目安はありますか？

能勢先生：大体2～3分くらいすると胸がドキドキしてきます。それから息がだんだん弾んできます。誰か友達と歩いているならば、短い会話ができる程度です。

笹井：先生の調査では、「ややきつい動きを取り入れないと結果的に筋肉が増えない」ということが分かったそうですね？

能勢先生：はい。ややきついと感じるぐらいの運動をすると、筋肉が太くなったり、あるいは循環器系が強くなったりします。

■“ややきつい運動”の習慣で体が10歳若返る

笹井：山登りは、きつい感覚を掴みやすく、平地ではなかなかかからない負荷も取り入れやすいそうですね。

能勢先生：そうですね。山に登る、という明確な目標があると人は頑張れますよね。だんだん景色も良くなってきますからね。

笹井：山登りといっても、片道30分ぐらいの低山でいいのですよね？

能勢先生：東京なら高尾山とか、1か月に１～2回登るだけで、かなり効果が出てきます。

笹井：先生の調査では、こうした“ややきつい動き”を続けることで、「血糖値」や「血圧」などの数値も、実際に改善しやすくなっていくことが分かったそうですね。

能勢先生：はい、体力がつけば呼吸循環器系のいろんな機能が改善するし、肌のハリが出てきて、凄くつやつやした顔色になります。

笹井：ややきつい速歩きを続けたことで「半年経つ頃には筋力が10%ほど向上する」と先生の著書にもありました。

能勢先生：大体10歳若返った体になります。

笹井：実際に私も先生に勧められて始めましたが、そういう運動をしていると頭の中もスッキリしますよね。

■運動後におすすめの飲み物

笹井：運動後、ジュースやアルコールが飲みたくなる方もいると思いますが、運動後におすすめの飲み物があれば教えてください。

能勢先生：コップ１～2杯の「牛乳」を飲んでほしいです。ややきつい運動をすると、筋肉がアミノ酸やブドウ糖をすごく取り込みやすい状態となります。その状態は、運動直後から1時間ぐらい続きます。

このタイミングで、「糖分」と「乳たんぱく」を含んでいるものを飲むと、筋肉の中に多く取り込まれ、より筋肉が太くなります。あるいは肝臓に取り込まれると、「アルブミン」という“血液を増やすたんぱく”ができますので、血液量が増えてきます。凄くみずみずしい体になっていきますよ。

笹井：負荷をかけた運動をした後は、なるべく早く、できれば1時間以内に牛乳を飲むといいのですね。

この他にも番組では、筋肉が少なくなると何が良くないのか、筋肉と老化の関係についても解説した。

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