「耳鳴り」「難聴」に悩む人が急増 専門医が原因を調査し、解説

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2月1日(水)、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長・石井正則先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)にゲスト出演。耳鼻科のスペシャリストである石井先生に、耳鳴り、難聴、めまいの原因、耳鳴りに悩む人の「脳」の状態、自律神経が疲れているかどうかを知るチェックリストなどについて解説した。

「耳鳴り」「難聴」に悩む人が急増 専門医が原因を調査し、解説

医療機関を受診して「大丈夫」と言われても、耳鳴り、めまいがつらい……という人はいないだろうか。コロナ禍において臨床現場では、耳鳴りに悩む人が増加。年をとるとだんだん耳が遠くなっていき、難聴や耳鳴りを訴える人が増えるが、近年は高齢者だけでなく、20代30代の若い世代、40代50代の働き盛りの世代でも「難聴」や「耳鳴り」に悩む人が多いという。

石井先生によると、「もうこれ以上我慢できません」と、体が悲鳴をあげた時、症状として現れるのが「耳鳴り、難聴、めまい」なのだという。

■「耳鳴り、難聴、めまい」の原因はストレス

笹井:“もうこれ以上我慢できません”というのはつまり、「耳鳴り」や「めまい」はストレスが原因ということですか?

石井先生:そうです。ストレスがどんどんたまってくると、交感神経がすごく興奮するんです。その結果、体にいろんな負担がかかります。

例えば、心臓だと「狭心症」、胃腸だと「過敏性腸症候群」。過敏性腸症候群とは、緊張すると下痢、あるいは便秘になってしまうものです。これらも全部、ストレスが背景にあることが分かっています。

耳も例外ではありません。ストレスがたまり過ぎると、耳の聞こえが悪くなったり、耳鳴りが強くなってある日突然、聞こえが途絶えたりする、いわゆる「突発性難聴」も背景にはストレスがあります。

■「耳鳴り」に悩む人の「脳」の状態

笹井:最近は高齢者だけでなく、若い人にも難聴や耳鳴りが見られるそうですね。

石井先生:そうなんです。まず、難聴を伴う耳鳴りを「難聴性耳鳴(じめい)」、難聴はないけど耳鳴りがあるのを「無難聴性耳鳴」といいます。

笹井:「難聴性耳鳴」と「無難聴性耳鳴」ですね。

石井先生:私は500人以上の患者さんの統計を取ったのですが、背景には“高度なストレスが解除できない”という方がほとんどです。

笹井:難聴はないけれど、高度なストレスが解除できないため、聞こえが悪くなっているということですね。

石井先生:はい。脳の興奮状態を調べる検査も行ったところ、皆さん、脳がすごく興奮していました。「1」の音がすると、それを脳で100倍、1000倍ぐらいに跳ね上げ、うるさい状態が引き起こされていることが分かりました。

ですから人によっては、「無難聴性耳鳴」で夜も眠れなかったり、日常生活にも異常をきたすということが、知られるようになってきました。

笹井:お話を伺っただけでも、つらそうな症状ですね。

■「めまい」も体が悲鳴をあげているサイン

笹井:難聴が発展すると、めまいが引き起こされやすいそうですね。

石井先生:そうです。そういう方の大体2~3割が、回転性のめまいではなく、フワフワする、自分だけが地震に襲われているようなふら付き、といった症状を訴える方もいます。

これもやはり、背景に高度なストレスがなかなか解除できず、心と体が癒されず、体が悲鳴をあげているサインだと考えています。ストレスをいかにマネジメントするか、ということです。「気づきを鋭くする」ということが重要です。

笹井:自分ではなかなか、ストレスに気付きにくいですよね。

■自律神経が疲れているかの確認を

笹井:先生の著書『めまい・耳鳴り・難聴を自分で治す本』(二見書房)の中から、「自律神経チェック」の項目を紹介させていただきます。自律神経の状態をチェックする15項目で、当てはまる項目が5個以上ある人は、自律神経が疲れている可能性があります。

(1)フラつきや立ちくらみをすることがある

(2)胸騒ぎや心臓がドキドキすることがある

(3)息苦しくなることがある

(4)寝苦しい、寝付けない、すぐ目が覚める

(5)手足がよく冷えることがある

(6)緊張するとすぐに下痢や便秘になる

(7)肩こり、首こり、腰痛になることがある

(8)夕方から夜になるにつれて手足がだるい

(9)緊張で体の一部に汗をかくことがある

(10)起床時に熟睡感がなく、体のだるさを感じる

(11)胃もたれや胃痛が起こる

(12)季節の変わり目や気候の変化に体調が左右される

(13)まぶしさを感じることがある

(14)脈が飛ぶことがある

(15)のどの奥がつまった感じがすることがある

笹井:難聴がない場合でも、耳鳴りが起きている人は最近多いということなので、ぜひ、自分のストレスに気付いてほしいですね。

石井先生:そうですね。難聴のない耳鳴りがある「無難聴性耳鳴」の方は、もう、相当“脳”がお疲れであると考えていいと思います。

笹井:耳ではなく、“脳が疲労している”ということですね。

石井先生:そうです。

この他にも番組では、耳鼻科系ではないが、石井先生自身も神経麻痺で両腕が完全に動かなくなった経験や、“ストレスの開放”で3か月ぶりに腕が動いた経験、また、自律神経を整える方法や、気分転換になるものをできるだけたくさんリストアップする「ストレスコーピング」の勧めと、そのコツについても紹介した。

Podcastでの聴取はこちらから。

番組情報

ドクターズボイス

毎週水曜日 21:00〜21:20

番組HP

「週刊文春 老けない最強食」の著者・笹井恵里子がパーソナリティを務める番組「徳洲会グループpresents ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」
この番組は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念のもと全国70以上の医療機関を有する徳洲会グループのサポートでお送りします。
毎週ホットなテーマを設け、各専門分野のドクターをゲストに迎えて、そのメカニズムや対処法を分かりやすく伝えていきます。
番組では、感想や取り上げて欲しいテーマなどお待ちしております。

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