12月14日(水)、宇治徳洲会病院心臓センター長の松岡俊三先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)に、リモートでゲスト出演。「血管の老化を防ぐ方法」をテーマに、自分の血管の状態を知る方法や検査してほしい人の特徴、血管病を起こしやすくする悪習慣について聞いた。
冬は動脈硬化がもととなって起きる、心筋梗塞や狭心症、脳卒中、不整脈といった「血管の病気」に注意が必要な時期。年を取るとともに、肌にシワが増えたり、髪が白くなったりするように、血管も弾力を失い、老化していく。血管のしなやかさを保ち、血液をスムーズに通すように維持するにはどうすればいいのか、循環器専門医の松岡先生に聞いた。
■動脈硬化は一般的な健康診断ではわからない
笹井:血管の老化は健康診断では分からないのですね。
松岡先生:そうですね、ズバり分かる手段はいろいろありますが、体に負担をかけず、簡単に血管の年齢や状態を測る方法として、「脈波」という検査があります。両手両足の血圧を同時に測定して、動脈の硬さ、しなやかさを調べられます。
笹井:その検査は、どういう人が受けたらいいのでしょうか?
松岡先生:例えば、ある程度年齢が行っていて、60~70歳くらいの方で、今までに糖尿病、脂質異常症、コレステロールや高血圧の薬を処方されている方は、一度は調べてみた方がいいと思います。
笹井:なるほど、何か生活習慣病に関わっている方ですね。
松岡先生:ただ、高血圧でかかっている人はどうしても血圧の数値を下げることだけが目標になっているので、それを何のためにやるのかを忘れないでほしいです。最終的には動脈硬化を進めない、血管年齢を進めないことが大事です。節目、節目でどういう状態なのか調べるのはいいことだと思います。
笹井:たしかに、その病気の数値だけが気になってしまって、今の自分の血管の状態がどうなのか、一度チェックするのがいいということですね。
■睡眠不足は血管病を起こしやすくする
笹井:睡眠不足が影響するのですか?
松岡先生:睡眠そのものというより、「睡眠不足によって自律神経のバランスが崩れること」が問題だと思います。
笹井:はい。
松岡先生:自律神経のバランスが崩れると、血圧の調節異常が起こり、それが引き金となり、水面下で起こっている動脈硬化の発症トリガーとなってしまうことが考えられます。
笹井:自律神経の乱れが血管に影響するというのは、なかなか一般的なイメージではありませんね。
松岡先生:例えば「今、手を上げてください」と言われたら、手を上げられますよね?
笹井:はい。
松岡先生:「目をつぶって」と言われたら、目をつぶれますよね?
笹井:はい。
松岡先生:でも、「今、ちょっとだけ額に汗をかいて」「ちょっと心拍数を今だけ70にしてください」とか、そういうことは無理ですよね?
笹井:無理ですね(笑)
松岡先生:それは自律神経の働きだから、できないんです。自律神経は精神的なもの、心のニュアンスで捉えられがちですが、「体の内臓を勝手に運営してくれている神経」のことです。
笹井:そうなんですね。
松岡先生:軽い運動の習慣を持つと自律神経の働きが良くなるし、逆に、睡眠不足が続くと自律神経の働きが悪くなってしまいます。
笹井:だから自律神経を整えることが、血管にも良い影響があるということですね?
松岡先生:そうですね。でも、それだけがすべてではありませんし、いろいろな生活習慣病のコントロール、生活習慣の是正が基本にありますが、自律神経を高ぶらせたり、バランスを崩したりするような生活習慣は、戒めないといけないと思います。
笹井:よく、震災後や震災時、血管にまつわる病気が多くなるということですが、それは環境変化やストレスの影響を受けているということですね?
松岡先生:そうですね。
この他にも番組では、動脈硬化はどうやって進行していくのか、動脈硬化と遺伝の関係についても解説している。
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番組情報
「週刊文春 老けない最強食」の著者・笹井恵里子がパーソナリティを務める番組「徳洲会グループpresents ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」
この番組は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念のもと全国70以上の医療機関を有する徳洲会グループのサポートでお送りします。
毎週ホットなテーマを設け、各専門分野のドクターをゲストに迎えて、そのメカニズムや対処法を分かりやすく伝えていきます。
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