11月16日(水)、奈良県立医科大学医学部特任准教授の大林賢史先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)に、リモートでゲスト出演。医師で、予防医学を専門とする大林先生に、「光」の浴び方で認知機能、うつ、糖尿病、動脈硬化などさまざまな病気のリスクが高まることや、日中・夜間の適切な光の浴び方について解説した。
大林先生は「平城京スタディ」と命名し、奈良県に住む40歳以上の男女3000人以上の、住居と健康を調査。平城京スタディでは、医師である大林先生が一件一件住宅を訪ね、居住者の血圧や尿、血液検査を行い、その結果を論文で発表している。光の浴び方が「痩せる・太る」に関係することも分かったという。
平城京スタディでは、「日中に光を浴びていない」人ほど2年後に「太っていた」結果となり、「夕方以降に光を浴びている」人ほど「太る」結果となった。豆電球程度の明るさで眠っていた人は、真っ暗な状態で眠っていた人と比べ、肥満の割合が2倍近くもあった。
この調査では、年齢、性別、摂取カロリー、日中の活動量など、肥満体質に影響しそうな要素もすべて調べて分析。これを踏まえた上で、「光の影響によって太る・太らないが変わってくる」という研究結果を発表している。
■日中どれくらいの光を浴びるのが適切か
大林先生:現代社会では部屋で過ごすことが多く、太陽の光をあまり浴びないですよね?
笹井:はい。
大林先生:日中に浴びる光が少ないと、夜に脳から分泌される「メラトニン」というホルモンが減ってしまい、睡眠障害などが引き起こされることが、国内外の研究で示されています。
笹井:日中に動くと夜にぐっすり眠れたりしますが、それは体を動かしたこともあるけれど、“光を浴びたから”という可能性もあるわけですね。では、どれくらいの光を浴びればいいのでしょうか?
大林先生:目安としては、日中は1000ルクス以上の光です。
笹井:1000ルクス。
大林先生:“ルクス”というのは明るさの単位で、多いほど明るいことを示しています。豆電球程度の明るさが10ルクス、一般的なリビングの明るさが200ルクス、太陽の光は10万ルクスぐらいあります。
笹井:10万ルクス、すごいですね!
大林先生:平城京スタディの実測調査からは、日中に1000ルクス以上の光を1時間以上浴びている人は、全体の半分くらいでした。
笹井:少ないですね。
大林先生:家の中やオフィスの中で1000ルクス以上の光を浴びようとすると、日中はできるだけ窓際で過ごすといいと思います。
■夜間に浴びる光が多いほど「睡眠障害」「うつ症状」「肥満」「脂質異常症」「糖尿病」が増える
大林先生:平城京スタディの分析結果から、夜間に浴びる光が多いほど、睡眠障害やうつ症状、肥満やコレステロールが高い脂質異常症、糖尿病も増えると言われています。
笹井:はい。
大林先生:対象者の方の、首の頸動脈を超音波検査で計ってみたところ、夜間に光を浴びた量が多い人ほど、動脈硬化が進んでいることがわかりました。
笹井:頸動脈を超音波検査するのは、医師である大林先生ならではの研究ですね。
■夜、光を浴びる量を抑えるための工夫
大林先生:寝る時はできるだけ目に入る光の量を減らすことが大事です。
笹井:はい。
大林先生:寝室には暖色系、オレンジ色のような間接照明を用いること、アイマスクも有効だと思います。
笹井:間接照明の工夫と、アイマスクですね。
大林先生:最近の研究では、薄暗い程度の明るさでも、睡眠の質に関わる「メラトニン」というホルモンの分泌を減らしてしまう報告があります。ですから、「真っ暗闇」の中で寝るのが理想的です。ただ、高齢者の方は夜間にトイレに行ったりしますので、転倒しないように配慮してくださいね。
なおこの他にも番組では、光に関する夜のNG習慣、体内時計の仕組みについてなども紹介している。
Podcastでの聴取はこちらから。
番組情報
「週刊文春 老けない最強食」の著者・笹井恵里子がパーソナリティを務める番組「徳洲会グループpresents ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」
この番組は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念のもと全国70以上の医療機関を有する徳洲会グループのサポートでお送りします。
毎週ホットなテーマを設け、各専門分野のドクターをゲストに迎えて、そのメカニズムや対処法を分かりやすく伝えていきます。
番組では、感想や取り上げて欲しいテーマなどお待ちしております。