ペットが人に与える“凄い効果”とは 医師が研究調査し解説
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2月22日(水)、医師で、東京都立大学名誉教授の星旦二先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)にゲスト出演。世界中の優れた論文と、国内の論文を体系的にまとめた『ペットがもたらす健康効果』(社会保険出版社)も出版する星先生が「ペットと健康」をテーマに、飼い主への健康効果、ペットを飼うことの子どもへの影響などについて解説した。
犬や猫を飼うと、癒されるだけではなく、ともに暮らす人の心身を健康にすることが多くの研究から証明されている。星先生らは、国内の全国16市町村に住む高齢者約2万人を調査し、その後2年間の生活や健康状態との関係を調べたところ、犬猫を飼育している人たちの2年後の生存率が、飼育していない人より明らかに保たれていたという。
■ペットの世話で飼い主の寿命が延びる
笹井:簡単にいうと、犬や猫を飼っている人のほうが長生きをされた?
星先生:はい。私たちは高齢者を調査し、犬と猫を区分せずにペットを飼っている、飼っていないということを調べ、およそ2万人を2年間追跡しました。ペットを飼うことは重要で、長生きに繋がっていたんですが、飼うだけではなく「世話をしているか・世話をしていないか」を区分したほうが、生存率に大きな差が出ました。
笹井:つまり、ペットを飼っているだけではダメで、きちんと世話をしないといけない、ということですか?
星先生:そうです、そう理解して良いと思います。
■ペットを飼うと「主観的健康感」が高くなり“長生き”に繋がる
笹井:ペットを飼うと寿命が延びる、ということの他にも、健康的な良さはありますか?
星先生:ペットを飼うことによって、特に犬の場合は外出の頻度が高まるし、ペットを飼うほうが「主観的健康感」が高くなり、それが総合的な効果として飼っていない人より長生きをする。これと同時にもう一つ分かったことが、要介護、寝たきりも一定の程度予防できる可能性が、私たちの研究で明らかになりました。
笹井:「主観的健康感」とは?
星先生:1960年代からアメリカの研究者が、およそ7,000人を対象に9年間追跡したところ、“生存予後”つまり、9年後に生きているか・死んでいるかを明確に予測できる、最も重要な指標が主観的健康感だったのです。自己申告で「私は健康だよ!」と言っている人の方が、「健康ではない」と言っている人に比べ、生存が維持されていたことが世界で初めて明確になりました。
笹井:『私は健康だ』と思っている人の方が実際に健康だなんて、なんだか不思議ですね。
■犬は人間に抱きしめられて幸福なのか?
星先生:他にも、ペットがもたらす健康効果としてペットを飼っている人の方が、特に犬を抱きしめると人間は幸福ホルモンが出ますが、実は、犬にも幸福ホルモンが出ます。
笹井:犬にもですか!?
星先生:そうなんです。人もペットも、両方に幸福ホルモンが出ますから、Win-Winの関係なんです。心が安らぐ、ストレス解消に繋がることも分かっています。
さらにペットは、特に犬ですが、飼わない群と比べると、例えば心筋梗塞で入院した患者さんのその後の生存予後が、優位に高いことも証明されています。
笹井:それはすごいですね。
星先生:驚くような研究成果がたくさんありました。
■ペットを飼うことの子どもへの影響
笹井:さらにペットを飼うことで、子どもの成長過程にも良い影響を与えるそうですね。
星先生:その研究は、イギリスやドイツなどの先進国で盛んに行われていて、特に精神的にさまざまな課題を抱えている子どもたちにとって、処方箋の一つとしてペットを飼うことを勧めているくらいです。私も極めて有効な方法ではないかと思っています。
笹井:処方箋の一つとして位置付けられるなんて、すごいですね。
星先生:そうですよね、日本ではちょっと信じられないですよね。私も犬を18年飼った経験がありますが、犬は絶対に人を裏切りませんよね。そういう特性や、心が通じ合えることは、特に子どもの心を豊かにすると、3人の子どもと一緒に過ごしてとても感じました。
この他にも番組では、「ペットを飼っている人は医者にかかることが少ない」という結果報告がされた国内外の研究について、ペットを飼うマイナス要素として、アレルギー問題やペットロスについても解説した。
Podcastでの聴取はこちらから。
番組情報
「週刊文春 老けない最強食」の著者・笹井恵里子がパーソナリティを務める番組「徳洲会グループpresents ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」
この番組は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念のもと全国70以上の医療機関を有する徳洲会グループのサポートでお送りします。
毎週ホットなテーマを設け、各専門分野のドクターをゲストに迎えて、そのメカニズムや対処法を分かりやすく伝えていきます。
番組では、感想や取り上げて欲しいテーマなどお待ちしております。