【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1106回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画・ドラマを発信する「Tokyo cinema cloud X（トーキョー シネマ クラウド エックス）」。
今回は、3月10日公開の『ひとりぼっちじゃない』と『Winny』をご紹介します。
画像を見る（全15枚） 『ひとりぼっちじゃない』
映画館で観たい！『ひとりぼっちじゃない』 ～実力派の脚本家が、自身の小説を映画化
『世界の中心で、愛をさけぶ』をはじめ、数々の名作を送り出してきた脚本家・伊藤ちひろ。彼女が10年の歳月をかけて上梓した小説が、自身の初メガホンにより実写映画化されました。
企画・プロデュースを務めたのは、これまで数々の作品で伊藤ちひろとタッグを組んできた映画監督・行定勲。他者とのコミュニケーションが苦手な主人公と、ミステリアスな美女による、愛と狂気の物語が誕生しました。
『ひとりぼっちじゃない』
『ひとりぼっちじゃない』のあらすじ
不器用すぎるがゆえに、人とうまくコミュニケーションを取ることができない歯科医・ススメが恋をしたのは、アロマ店を営む宮子。彼女は部屋に鍵をかけずに出かけたり、突如連絡が取れなくなったりと、その言動が謎に包まれている女性。
翻弄されてばかりだが、それでも宮子と抱き合っていると、ススメは日ごろ感じている“生きづらさ”から解放されるような感覚を味わうのだった。
その一方で、どこか掴みどころがない彼女を前に、自分は宮子のことをちゃんと理解できていないのではないかと思い悩むススメ。あるとき、ススメは宮子の友人・蓉子から、宮子にまつわる驚きの事実を聞かされて……。
『ひとりぼっちじゃない』
『ひとりぼっちじゃない』のみどころ
主人公・ススメを演じたのは、デビュー以来、音楽シーンに大きなインパクトを残し続けるバンドKing Gnuの井口理。伊藤ちひろ監督によると、ススメは井口理を想定して“アテ書き”で脚本を執筆したとのこと。
その熱望に応えるかのごとく、内気な青年のなかに芽生えてくるデリケートな感情を、きめ細やかな演技と表情で体現。映画初主演とは思えぬほど、確かな存在感を放っています。
そんなススメが恋をする宮子役には、馬場ふみか。艶やかでナチュラルで、ちょっぴり冷酷さも秘めている。ススメ役に勝るとも劣らない難役を見事にモノにした、その柔軟性ある演技は必見です。
ススメと宮子の恋模様はもちろん、河合優実演じる蓉子と宮子との独特な関係性からも目が離せませんよ。
『ひとりぼっちじゃない』
どこかアンニュイで、不思議な手触りが特徴的な本作。
人生において、“うまくいかないもどかしさ”を感じることは、きっと誰にも経験があるはず。恋をしたときに感じる幸せ、歯がゆさ、焦り。そして、それでも生きていくということ。
この恋の果てにあるものは、純愛か狂乱か。一筋縄ではいかないラブストーリーを堪能して。
『Winny』
コチラも映画館で観たい！『Winny』 ～インターネット史上最大の事件を禁断の映画化
映画のタイトルになっている“Winny”とは、ファイル共有ソフトのこと。その機能性の高さから瞬く間にシェアを伸ばしていく一方で、著作権の侵害や個人情報の流出が絶えず、社会問題へと発展していきました。
本作は、革新的なソフト“Winny”開発者の不当逮捕をめぐる実話を映画化した、社会派ドラマ。ダブル主演の東出昌大、三浦貴大をはじめとする、俳優たちの熱量の高い演技は見応えたっぷり。
技術者の権利と未来を守るため、権力やメディアと戦った男たちの姿を映し出した、骨太な1作です。
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『ひとりぼっちじゃない』
『ひとりぼっちじゃない』
2023年3月10日（金）から全国ロードショー
出演：井口理（King Gnu）、馬場ふみか、河合優実、相島一之、高良健吾、浅香航大、長塚健斗（WONK）、じろう（シソンヌ）、盛隆二、森下創、千葉雅子、峯村リエ
監督・脚本：伊藤ちひろ
企画・プロデュース：行定勲
原作：伊藤ちひろ「ひとりぼっちじゃない」（KADOKAWA刊）
配給：パルコ
(C)2023「ひとりぼっちじゃない」製作委員会
公式サイト https://hitoribocchijanai.com/
『Winny』
『Winny』
2023年3月10日（金）から全国ロードショー
出演：東出昌大、三浦貴大、皆川猿時、和田正人、木竜麻生、池田大、金子大地、阿部進之介、渋川清彦、田村泰二郎、渡辺いっけい、吉田羊、吹越満、吉岡秀隆
監督・脚本：松本優作
企画：古橋智史 and pictures
原案：朝日新聞 2020年3月8日記事 記者：渡辺淳基
配給：KDDI、ナカチカ
(C)2023 映画「Winny」製作委員会
公式サイト https://winny-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者：八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/
