子宮頸がんが激減したオーストラリアで行われていること
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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が3月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。小児への四種混合ワクチンについて、また、HPVワクチンについて語った。
4月からは生後2ヵ月から接種可能になった「四種混合ワクチン」
新行市佳アナウンサー)4月から前倒しで受けられる小児のワクチン接種があるということですが。
川上)ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つが混合になった「四種混合ワクチン」が、4月からは生後2ヵ月から受けられます。
新行)生後2ヵ月から。
川上)これまでは生後3ヵ月からだったのですが、それまでに罹ってしまうお子さんが少なくないということで、生後2ヵ月から受けられることになりました。接種を前倒しすれば、百日咳に罹るお子さんを年間約100人減らすことができると言われています。
HPVワクチンが積極的勧奨接種から外れていた時期に接種機会を逃した人も公費での接種可能
新行)子宮頸がんを予防するHPVワクチンについても伺います。学生の皆さんは公費でHPVワクチンを接種できるのですよね?
川上)小学校6年生~高校1年生相当の女の子が対象になっています。HPVワクチン接種後の健康被害をめぐる訴訟問題のため、国が積極的に予診票を配る積極的勧奨接種を8年間、中止していました。その間に接種機会を失った方々にも、いま「キャッチアップ接種」が行われています。
新行)接種するタイミングを逃してしまった人でも、キャッチアップ制度を使って受けられるのですね。
川上)可能です。
積極的なHPVワクチン接種によって子宮頸がんが減少したオーストラリア
新行)HPVワクチンの接種に関して、学生の皆さんに対する情報の伝え方など、現状はどうなっているのでしょうか?
川上)国としては積極的な接種を推奨しています。諸外国のなかでも、特にオーストラリアは積極的に接種しており、男子にも行っています。
新行)そうなのですか。
川上)結果として、若くして子宮頸がんに罹る方が激減しています。日本の接種率が今後も低いままだと、「世界で唯一、子宮頸がんという珍しい病気が見られる国だ」と言われかねない状況が推測されています。
HPVワクチンの種類
新行)HPVワクチンはいくつか種類があるということですが。
川上)現在、3種類が販売されています。このうち、3月までは2種類、「サーバリックス」と「ガーダシル」という商品名のものが定期接種でも使われていますし、任意でも使えます。
新行)3月までは。
川上)3月中は任意ですが、ウイルスのサブタイプのなかからがんを起こしやすい9種類を選んだ「シルガード9」が、4月からは定期接種になります。がんを予防するという意味では、よりカバーしている範囲が広い、新しい薬の方が安心感があります。
新型コロナワクチンによって「筋肉注射」への理解が広がった
新行)新型コロナワクチンの接種によって、ワクチンに対する理解が広まった側面はありますか?
川上)筋肉注射ワクチンに対して、皆さんの心の障壁が下がったのではないでしょうか。それまではHPVワクチンくらいしか、筋肉注射を行うワクチンはありませんでした。皮下注射と違い、打ったあとに筋肉痛がありますが、新型コロナワクチンの筋肉注射のおかげで、皆さんが「筋肉注射とはこのようなものなのか」と理解されたと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます