日本はどこに? 世界で分かれつつある「5つのブロック」
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エコノミストで複眼経済塾塾頭のエミン・ユルマズが3月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。TPP加盟で大筋合意となったイギリスについて解説した。
世界の5つのブロック ~ブロック経済が進む世界
飯田)イギリスの環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への加盟について大筋合意となりましたが、この動きをどう見たらいいですか?
ユルマズ)世界はアンチグローバル化、ブロック経済化に進んでいます。そのなかで5つのブロックができつつあるのです。
飯田)5つのブロックが。
ユルマズ)1つ目はTPPブロックです。2つ目は、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」という、新しい「北米自由貿易協定(NAFTA)」のブロック。3つ目は欧州連合(EU)のブロックです。
飯田)3つ目のブロックがEU。
ユルマズ)4つ目はユーラシアブロック、いわゆる中露を中心とする中国の「一帯一路」政策に沿ったブロックです。最後の5つ目は、「アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)」というものがあり、2019年発足で50ヵ国以上が加盟しています。
大きくは中国主導の「権威主義圏」とアメリカ主導の「リベラル経済圏」に分かれる
ユルマズ)ただ、大きく考えれば、2つのブロックに分かれると思います。中国が主導する「権威主義圏」と、アメリカが主導する「リベラル経済圏」ですが、緩くは5つのブロックに分かれていくと思います。
飯田)そうすると、EUブロックから出ていったイギリスは、TPPに加盟せざるを得ないのですか?
ユルマズ)そうですね。USMCAかTPPのどちらに入るかと考えた場合、イギリスは海洋国家なので、TPPに入ることでさらに太平洋におけるアジアでの影響力を増やしたい狙いがあるのだと思います。
飯田)イギリスの狙いとしては。
ユルマズ)どのみちイギリスは大西洋においては強いわけですから、太平洋での力を維持する狙いはあるのではないでしょうか。
「大陸国家」と「海洋国家」の対立構図でもある
飯田)海洋国家という言葉が出ましたが、19世紀からの古典的な地政学のなかで、海での交易で栄える国と、陸のなかにいるランドパワーの国。その切り分けのようなものが、また顕在化してくるのですか?
ユルマズ)もう既に顕在化しています。中国の一帯一路は、昔のシルクロードを復活させようという壮大な夢なのです。
飯田)一帯一路は。
ユルマズ)つまり、いまの世界貿易は、すべて海を通じて行われている。19世紀以降、海はアングロサクソンが支配しているわけです。昔はイギリス、いまはアメリカ。大きく言うと米英のアングロサクソン勢力です。
飯田)米英の。
ユルマズ)海では勝てないとなると、陸の貿易を復活させ、そこで覇権を得ようという狙いになる。まさに「大陸国家」と「海洋国家」の対立構図ができつつあり、日本は海洋国家なので海洋国家側にいるのです。
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