「子宮頸がん」を予防するためには「HPVワクチン」の接種を
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神奈川県衛生研究所・所長の多屋馨子氏が4月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。子宮頸がんとHPVワクチンについて解説した。
子宮頸がん ~年間約1万1000人が発症
飯田浩司アナウンサー)今回は子宮頸がんについて伺います。ウイルスによって引き起こされるがんだということですが。
多屋)性的接触のある女性の8割~9割が、一生に1回は何らかのヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると言われています。ヒトパピローマウイルスが原因で、一部の方は子宮の入り口に近い部分(頸部)にできる子宮頸がんに罹ってしまいます。日本では1年間に約1万1000人の方が子宮頸がんになり、毎年約2900人の方が亡くなっているという報告もあります。
飯田)年間約2900人の方が亡くなる。
多屋)20歳代くらいから子宮頸がんになる方が増え始め、30代では年間約1000人の女性が治療で子宮を失ってしまい、妊娠が難しい状態になってしまう。ヒトパピローマウイルスの感染を防ぐHPVワクチンについては、カナダ、イギリス、オーストラリア、米国などの接種率は8割以上ととても高いのですが、日本は残念ながら数%ほどで、G7の国々のなかでは非常に低い接種率となっています。
HPVワクチンは何回接種すればいいのか
飯田)HPVワクチンを接種した人たちが、副反応的にさまざまな症状を起こすのだとメディアで大きく報じられました。その結果、積極的な勧奨が一時中止になり、接種率が低くなってしまった経緯があります。そのような歴史を踏まえ、4月から接種の制度が変わってきています。
多屋)ヒトパピローマウイルスは種類が多く、200種類以上あると言われています。最もたくさんの種類に対応できる9価、9種類のヒトパピローマウイルスの感染を防ぐワクチンが定期接種に導入されました。いままでは3回受けなければいけなかったのですが、9価のワクチンに限っては、1回目の接種を15歳未満で受けた場合、2回で大丈夫なのです。
飯田)15歳未満で始める場合は。
多屋)もし15歳以上になってからヒトパピローマウイルスのワクチンを接種する場合は、いままで通り3回接種です。2価や4価のワクチンを選んだ場合も3回接種です。15歳の誕生日よりも前に1回目の接種を受けて、6ヵ月ほど経ったときに2回目を受けるというのが、4月からの制度です。
定期接種の対象年齢を過ぎても全額公費で接種できる
新行市佳アナウンサー)HPVワクチンを受けたかったけれど、受けるタイミングを逃してしまった人に向けて、キャッチアップ接種などはありますか?
多屋)1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性の方は、2022年4月~2025年3月までの期間であれば、HPVワクチンのキャッチアップ接種の対象ですので、全額公費で受けられます。この場合は合計3回接種です。以前に受けた回数も含めて3回になります。
飯田)1回目でやめてしまった人は、残り2回ということですね。
多屋)そうです。
新行)男性への接種も大切になりますよね?
多屋)海外では、男性も国の予防接種の対象に入っている国もあるのですが、日本はまだ対象にはなっていません。日本でも男性がワクチンを受けることはできるのですが、男性がいま受けられるワクチンは4価のワクチンだけです。また定期接種ではないので、全額自費になります。
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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます