50歳から増え始める「帯状疱疹」 防ぐためにはワクチン接種を
公開: 更新:
神奈川県衛生研究所・所長の多屋馨子氏が4月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。水ぼうそうと帯状疱疹について語った。
水ぼうそうに罹った人は全員、帯状疱疹に罹るリスクがある
飯田浩司アナウンサー)今回は水ぼうそうと帯状疱疹について伺います。まず、この2つの関係はどんなものですか?
多屋)水ぼうそうに罹ったことがある人は全員、帯状疱疹に罹るリスクがあります。
飯田)全員。
多屋)水ぼうそうに罹ると、体のなかに一生、ウイルスを持ち続けるのです。
飯田)一生。そうなのですか。
多屋)そして、免疫が落ちたり高齢になると、持っているウイルスが「ムクムク」と起き上がって帯状疱疹になるのです。
子どもは軽症でも、大人が罹ると重症になる水ぼうそう
多屋)水ぼうそうのワクチンを受けるお子さんは、定期接種の制度ができてからずいぶん増えています。子どもが罹っても軽いことが多いのですが、大人が水ぼうそうになると重症になり、入院することが多いです。
飯田)入院するくらいに。
多屋)昨年(2022年)くらいから「サル痘」が流行しています。「エムポックス」に名前が変わろうとして話題になっていますが、水疱ができる病気であり、水ぼうそうと症状が似ていて間違えられやすいという特徴があります。
50歳から増え始める帯状疱疹
飯田)一方で帯状疱疹は、何歳くらいの方が罹りやすいのでしょうか?
多屋)基本的には高齢者の方が多いです。50歳を境に急に増え始め、60~70代が最も多い年齢層になります。帯状疱疹は帯状に体の半分だけ水ぶくれができるのですが、治ってからも神経痛だけが残ってしまう「帯状疱疹後神経痛」という病気があります。
飯田)帯状疱疹後神経痛。
多屋)水ぼうそうで入院した大人の方を調べたところ、感染経路がわかっている人のなかの半分が、帯状疱疹の患者さんから感染したという調査結果もあります。
50歳以上を対象に受けられる帯状疱疹のワクチン接種
新行市佳アナウンサー)帯状疱疹のワクチンについて、詳しく教えていただけますか?
多屋)子どもたちが受けている水ぼうそうのワクチンを、帯状疱疹の予防として使えるようになりました。
飯田)水ぼうそうのワクチンを。
多屋)2016年3月から実施されているのですが、50歳以上の方が対象です。自治体によっては費用を助成してくれるところもあるので、お住まいの自治体に伺ってみてください。
受けるべき各ワクチン接種
飯田)改めて、いまどんなワクチンを接種する必要があるのか、まとめてお願いします。
多屋)まずお子さんは小学校に入学する前までに必ず、はしかと風疹の混合ワクチンを2回受けたかどうか、記録で確認して欲しいと思います。
飯田)はしかと風疹の混合ワクチン。
多屋)次に、20歳の大人の方です。はしかのワクチンを1歳以上で2回受けているか、記録を見ていただきたい。受けていなければ罹っていたかも知れないので、その場合は抗体検査という方法もあります。
飯田)母子手帳での確認ですね。
多屋)次に風疹です。風疹は妊婦さんが感染すると赤ちゃんに影響が出て、先天性風疹症候群という病気に罹る可能性があります。2023年度中に44歳~61歳になる男性の方を対象に、抗体検査とワクチン接種が全額公費で受けられる制度がいま行われていますので、自分のお子さんや会社の若者に風疹をうつさないためにも、該当する年齢の男性はクーポン券を持って抗体検査をまず受けてもらいたいです。
飯田)ちょうど新年度になったばかりですから、クーポンが来ているかどうかを確認するといいですね。
多屋)お願いします。そして、ヒトパピローマウイルス(HPV)9価のワクチンが2023年4月から公費での定期接種になりましたので、対象の方は受けて欲しいと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます