80歳で20本の歯を残す「8020運動」のすすめ

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が4月11日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。歯科検診の重要性について語った。

80歳で20本の歯を残す「8020運動」のすすめ

※画像はイメージです

「8020運動」 ~80歳になっても20本以上の歯を保とう

飯田浩司アナウンサー)口のなかの健康について、残しておきたい歯の目安はあるのでしょうか?

森田)「8020運動」というものがあります。80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという運動で、歯が20本あると自分の歯で食べられると言われています。20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることが科学的に明らかになっています。

飯田)20本の歯を残す。

森田)「8020運動」の達成率は、平成28年の歯科疾患実態調査によれば、51.2%と報告されています。

新行市佳アナウンサー)もともと大人の歯は何本あるのですか?

森田)永久歯は親知らず4本を含めて、全部生え揃うと32本です。「8020運動」が提唱された平成元年(1989年)当時、日本人の平均寿命はおよそ男性が76歳、女性が82歳と現在より低かったので、「80歳で20本以上あればいいだろう」という目標でした。

飯田)当時は。

森田)それから30年経ち、平均寿命も長くなっています。「8020運動」はゴールではなく、1つの目安ですので、さらに上を目指していただきたいですね。

歯が多く残っている人は認知症の発症率も低い

飯田)残った歯が少ないと死亡リスクが高まるということですが、他にも影響があるのでしょうか?

森田)歯の本数が少なくなると、寿命が短くなるだけではなく、認知症などの発症率も高まることが研究でわかってきました。

飯田)そうなのですか。

森田)愛知県の65歳以上の住民を3年~4年追跡調査した結果、歯が多く残っている人は認知症の発症率も低く、転倒する危険性も低いことがわかりました。歯がたくさんあれば噛むことができ、脳の血流が増えるので認知症になりにくいのだと思います。

80歳で20本の歯を残す「8020運動」のすすめ

新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー

定期的に歯科受診する

飯田)噛み合わせ、噛むことは重要なのですね。

森田)多くの方は、歯に症状が出てから歯科を受診される方が多いと思いますが、全身の人間ドックのように、定期的に歯科受診することが大切です。飯田さんと新行さんは、歯科医院へ定期的に行かれますか?

新行)私はいま噛み合わせを直しているので通っています。噛み合わせを直す前も、3ヵ月に1回くらいのペースで行っていました。

飯田)私は虫歯がなかったもので、歯医者さんに行く習慣がまったくありませんでした。先日、区の健診があったので行きましたら、「虫歯がありますね」と言われました。

森田)身体の病気と一緒で、どこか調子が悪いと定期的に医療機関にかかるのですが、何の異常もないとかからないのです。これを契機に、ぜひ定期健診(検診)に行ってください。

定期的に歯科を受診している人は動脈硬化の進行の割合が低い

飯田)定期健診(検診)では、さまざまなことをチェックしてくれますよね。

森田)症状がなくても定期的に受診すれば、歯周病になっているかどうかの検査や、歯のクリーニング、歯石除去などもしてくれます。年間2~3回行った方がいいのですが、歯科医師によれば、忘れないようにするには毎年の誕生月に来て欲しいと呼びかけているところもあります。

飯田)誕生月に行く。

森田)定期的に歯科を受診している人は、そうでない人に比べて動脈硬化が進行する割合が低いということが、55歳以上の日本人を対象とした東北大学歯学部による研究で明らかになりました。歯科受診の重要性がここでも明らかになっています。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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