ジャーナリストの佐々木俊尚と慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が4月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ産穀物の輸入を禁止していたポーランドが通過を容認した措置について解説した。
ポーランドがウクライナ産穀物の輸入禁止解除に合意
飯田)G7外相会合でも重要な議題となったウクライナ情勢ですが、ポーランドなど3ヵ国が「ウクライナ産の農産物の輸入を禁止する」と相次いで表明していたところ、ポーランドが一転、輸入禁止措置を解除することに合意しました。ポーランドなど周りの国々はウクライナの安い穀物が入ってくると、地元の農家が悲鳴を上げるというところから、禁輸を打ち出していましたよね。
細谷)ドイツなどのエネルギー問題もそうですが、いまヨーロッパ諸国は経済的に厳しい状況です。国内の要請と、国際的にウクライナへの支援を継続する必要性との間で、バランスを取ることが難しいのです。
国民の利益の保護とウクライナ支援の間のバランスが難しい
細谷)ポーランドのドゥダ大統領も、「法と正義」という国内の伝統や農業の保護をアピールしてきた比較的ナショナリスト系の政党ですから、国民の利益を保護する内容も言わなければならない。だからと言って、EU内で最もウクライナ支援に積極的だったポーランドが足並みを乱してはいけません。そういった意味で、今回の動きはよい方向へ働いたと思います。
経済の問題と安全保障は切り離して考えるべき
佐々木)ウクライナ産の農産物の輸入禁止によって、EUもしくはNATOの結束にヒビが入ったなどという記事が増えてきていますが、経済の問題と安全保障は切り離した方がいいのではないかと思います。
飯田)経済の問題と安全保障は。
佐々木)経済でトラブルが起きたからと言って、安全保障の取り組みにヒビが入るわけではないですし、逆に経済のつながりが大きいからと言って、戦争が起きないわけではありません。中国とアメリカはたくさん貿易をしていますが、そこでも衝突が起きる可能性があるのです。
飯田)米中関係でも。
佐々木)我々はつい、「経済があれば安全保障も大丈夫」と考えてしまう。逆に言えば「経済が壊れたら安全保障もダメになる」と、両方を結び付けて考えてしまいますが、そこは分離するべきです。国内には国内の問題があるのですから、それを解決することと、安全保障を大事に結ぶことは別であると常に考えた方がいいと思います。
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