政策アナリストの石川和男が5月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。感染症法上の位置付けが5類に移行された新型コロナウイルスについて解説した。
新型コロナ「5類」に移行 ~松野官房長官が改めて感染対策の重要性を訴える
松野官房長官は5月8日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行したことに関して、改めて感染対策の重要性を訴えた。
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飯田)また、世界保健機関(WHO)が「緊急事態の宣言を終了する」と発表しましたが、これは長期的な管理を行っていく段階になったと判断されたものであって、パンデミック自体の終了を意味するものではないということです。政府としては、終了宣言を出す考えはないことを明らかにしています。世の中の空気も変わってきている感じがします。
東京オリンピックを延期した日本 ~厳しく自粛した日本
石川)2020年2月くらいに中国で「コロナだな」と思われる状況が始まって、それが日本に来た。当時の安倍元総理が緊急事態宣言を出したのが2020年4月です。私も忘れかけていたのですが、実はあのとき東京オリンピック2020を延期するというような話になっていました。
飯田)そうでしたよね。
石川)オリンピックを主催国の日本が延期するという判断は、とても大きなことです。日本でも新型コロナウイルスによってセンシティブになっているということを世界に発信してしまったわけですし、日本人自身も、当時は自粛がすごかったですよね。
飯田)銀座などもまったく人がいなくなりました。
石川)まるでパニック映画を見ているような感じでした。あれから何年か経って、ようやくここまで戻り、観光客も増えてきた。飛行機も新幹線も通常に戻ってきたような雰囲気になりましたが、実は2類相当から5類になったのは昨日(5月8日)なのですよね。
ここまでのコロナ対策は必要だったのか ~お金を掛けすぎたのではないか
石川)ウイルスは目に見えないので、仕方がないと言えば仕方ありません。病気ですし、感染したことで亡くなってしまった方も多数いらっしゃるので、そう考えると慎重になる気持ちはわからなくもない。
飯田)そうですね。
石川)ただ、統計的な数字を見て、「本当にここまでの対応が必要だったのか」と言うと、結果論ではありますが少しやりすぎで、かつお金を掛けすぎたところはあると思います。
今後の教訓のためにもコロナの検証はするべき
石川)これから出てくると思いますが、「どれくらいお金を使ったのか」ということです。これで本当によかったのかという検証が、おそらく各国でも行われると思います。日本は日本なりに大金をかけて対策しましたし、これからも多少はやることになるので、納税者としてしっかりウォッチしていく必要があります。
飯田)そうですね。
石川)国民としても反省しなければいけない部分はあると思います。次に同じようなことが起きたときの教訓にするためにも、コロナの検証はきちんとやっておくべきです。
いまもほとんどの人がマスクを着用
飯田)各国を見ると、法律によって私権の制限をしっかりと分け、その分、感染が収まってきたら解除するという判断が「スパッ」とできた。ところが我々の国は、それを自粛という形で行ったから、効くときには効くけれども、ずっと効き続けてしまう状況がありました。
石川)その通りで、マスクの義務などは、どの法律にも書いていないのです。病院に入るときも「マスクをしてください」という程度です。しかし、日本人は「そうだな」と思うとやってしまうのです。
飯田)性格的に。
石川)日本人の特性として毎年の花粉症や、黄砂などの自然現象があります。そのため日本人はマスクに慣れているので、マスクを着用すること自体にそれほど抵抗感がないのですが、年間を通してマスクをしていたわけではありません。
飯田)慣れているとは言え。
石川)街を歩いたり電車に乗ったときに、マスクをしていない人の人数を数えるのですが、やはりマスクをしていない人は少ないです。
飯田)未だにそうですね。
石川)マスク着用は、これからもずっと続いていくのではないでしょうか。夏の暑いときにマスクをしていると蒸しますので、よくないですよね。
政府が「マスク着用はもういい」と強く言うべき ~政治家が「マスクを外そう」と言えばみんな従う
石川)政府が「マスクはもうしなくていい」と強く言わなければいけない。一旦定着した習慣は、簡単には解除できないのが日本人の特徴だと思います。法律にしなくても、総理や官房長官が会見で言うだけでも意外と動くことがあるので、政府にはもっと強く言って欲しいです。そうでないと、みんなマスクを取れないですよ。
飯田)取るアピールをしたあとに何かあったらどうしようと考えると、政府として動けるのかどうか。そういうことなかれ主義もありそうですね。
石川)私の周りでも、中学校に入学したときにコロナ禍が始まり、卒業するまでの3年間はずっとマスクをしたままで、「この人の本当の顔を見たのはきょうが初めて」というようなことがありましたが、笑えない冗談ですよね。しかし、そういうことが実際にあるのです。
飯田)昔なら小説などで、そんなディストピア社会はないだろうと思っていたことが、実際に起こった。
石川)1つ言えるのは、法律をつくらなくても、政治家の偉い人が言ったらみんな従うということです。そういう意味では、法律をつくるコストは掛からない。
飯田)政治や行政への信頼感が高いというのは、他の国と比べて、いいことでもあるのかなと思います。
新型コロナでの対応を検証するのは政治と国民に課せられた課題 ~特大の経済対策を打って欲しい
石川)だからこそ、いま言っても遅いかも知れませんが、今回の5類移行も含め、外していいということを政治側がもっと早く言ってくれたら、これほどコロナ予算を使わずに済んだのではないかと思います。きちんと検証して今後の教訓にすることは、政治と我々国民に課せられた課題だと思います。
飯田)営業の自由に関しても、本当は憲法上の権利として認められているはずですが、飲食店などが狙い撃ちにされた。どこまで根拠があったのかなど、そういえば曖昧なままですよね。
石川)おかしいではないですか。昼間は何の規制もないのに、なぜ夜は8時までしか営業できないのか。お酒を出していた飲食店がすべてダメになってしまった。それでは経済が回らなくなってしまいます。ただ、どこかにお金は回っているはずです。もしかすると、そこで使わなかったものが今回、観光需要に吐き出されているのであれば、それはそれでいいことなのかも知れません。ただ、飲食業界の人にしてみれば、結果論ではありますが、とばっちりですよね。
飯田)法律によらないものもあっただろうという話ですよね。
石川)補給金や給付金など、いろいろ名前は出ましたが、それで足りた人や、逆に十分すぎて営業しなくなった人はいいけれど、困った人も多くいました。そのような方々に対する目配せを今後きちんと行うためにも、飲食も含めた観光などへの起爆剤として、もっとお金が回るように特大の経済対策を打って欲しいです。特大のコロナ対策を行ったのですからね。
飯田)そうですよね。それはできたのに。
石川)そちらの方はやったのに、なぜ特大の経済対策に関しては「やり過ぎだろう、無駄遣いだろう」という意見が出てくるのでしょうか。きちんと我々は有権者として反省し、政治に対して「もっとやれ」と言っていくべきだと思います。
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