東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が5月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられたことによって生じる変化について語った。
新型コロナのための病床確保 ~移行期間を含めて減少させていく
飯田浩司アナウンサー)5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられましたが、病床使用率やクラスターなどの把握はどうなっていますか?
猪口)病床使用率ですが、これまでは病院がどれくらい即応病床を持っているのか、その病床数を報告し、確保しておくことによって補助金が出ていました。
飯田)これまでは。
猪口)5類になると、それが一切なくなっていきます。9月いっぱいまでは移行期間としてある程度、現在あるものを徐々に減らしていく。当初は5月8日以降、9月末までを移行期間として前半・後半に分け、前半部分においては3000床~4000床を確保する予定です。東京の場合、これまでは最大8000床弱ぐらいの病床を確保していましたが、その半分ぐらいのイメージですね。
飯田)半分。
猪口)そして後半の9月に近い時期になると、1000床~2000床くらいにして、さらに半分に減らす。そこからさらに半分、そしてなくなる、というような形の病床確保を目指しております。
5類になると治療目的以外の入院は原則、なくなる
猪口)5類になると、入院していただく患者さんに関して、2類相当のような隔離の目的がほぼなくなります。2類相当のときにはリスクが高いという理由で病院に入ることができましたが、5類になると、医療機関は治療目的の入院が原則になります。予防目的や経過観察のための入院が原則的にはなくなっていくのです。
飯田)治療目的以外の入院は。
猪口)症状がある方たちの入院ということで、経過措置の前半部分においては、軽症と中等症1ぐらいまでは「入院していいですよ」という判断になると思います。お年寄りの方や重症の合併症を持っている方たちは、それで入院してもいいでしょうとなる。
飯田)高齢の方や重い合併症のある方は。
猪口)後半になってくると、中等症の2以上になりますので、全身状態の悪い方、もしくは呼吸苦があって肺症状の強い方などが対象になります。そして10月以降は、これまでのように特別な病院ではなく、すべての医療機関で入院させてくださいというような話になります。
高齢者施設でクラスターが起きても軽症患者は原則、施設で経過をみることに
飯田)一方で、クラスターについてはいかがですか?
猪口)クラスターについては、5類の感染症であるインフルエンザでも、施設内で感染が起きた場合は保健所に報告しますので、把握に関してはこれまで通りできます。
飯田)把握ということでは。
猪口)しかし、陽性者が出ればクラスターなのですが、その方たちに症状があるかないかも関係します。例えば高齢者施設でクラスターが起きた場合、その方たちは、いままでであれば(軽症であっても)入院し、罹っていない方たちを守ることもできました。しかし5類感染症においては、その方たちが軽症ならば、「施設のなかで経過をみていてください」という形になるかも知れません。
飯田)なるほど。
猪口)病院の状況やコロナの感染状況によって、「これは厳しい」となれば「入院させろ」という話になるかも知れませんが、原則としてはそういう状態でも高齢者施設で止めおき、自分たちでみていただくような形にならざるを得ない場合もあります。
検査数は医療機関からの報告を継続
飯田)検査数については、いままで通りですか?
猪口)検査数はいままで通り、医療機関からの報告を継続することになっています。
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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます