年内には実質賃金も上がる 3月の実質賃金マイナス2.9%
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数量政策学者の高橋洋一が5月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本経済の今後の見通しについて解説した。
3月の実質賃金がマイナス2.9%
5月9日、厚生労働省から毎月勤労統計調査の速報値が発表された。2023年3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5名以上)によると、物価上昇を加味した実質賃金は前年同月比2.9%減で、12ヵ月連続のマイナスだった。
飯田)前年同月比マイナス2.9%。現金給与総額は上がっているのですけれどね。
高橋)雇用が増えたときはこういうこともあります。実質賃金に関しては、だいたい賃金を出す方が少し遅れるのです。もう少し雇用が引きしまって賃金も上がらないと大変ですよね。
消費者物価が下がってくるので、今年後半には実質賃金も上がる
飯田)消費者物価の方は、輸入する原材料価格(の上昇)などの部分が大きいですか?
高橋)消費者物価は下がってくるので、これから徐々に賃金も上がると思います。春闘での賃上げ効果も出てきます。消費者物価は年末に向けて下がりますので、どこかで実質賃金も上がると思います。
飯田)これは3月の数字なので、4月も見ないと春闘の結果等々は反映されないですか?
高橋)春闘の結果と、物価が下がっていく状況を見ます。4月にはどうなるかわからないけれど、年の後半になったら実質賃金は上がり出すと思います。
飯田)物価が落ち着いてくれば。
高橋)落ち着いてくれば間違いなく上がります。物価と賃金のどちらが上がりやすいかと言うと、ノーマルの状況では賃金なのです。要するに、物価に生産性の上昇分を足したのが賃金なのですよ。
飯田)物価に生産性の上昇分を足したのが賃金。
高橋)ただ順番など、いろいろな要因があるので難しいですね。ノーマルへ向かうには少し時間が掛かります。いま、ちょうど物価が下がり始めているから……本当に物価が下がっているのではなく、上昇率が低くなっていて、加速度がついていないという意味ですが。
G7のなかでも景気の落ち込みが最も低い日本 ~コロナ禍で抑圧された貯蓄もある
高橋)それがいま3%くらいですが、2%ぐらいに下がってくれば、賃金の方が多分3%ぐらいに上がっているから、少し差がついて実質賃金が上がる。そんなパターンなのです。
飯田)そこが好循環につながっていくといいですよね。
高橋)いまはいいチャンスなのですよ。日本は(コロナ対策で)100兆円くらい出したでしょう。それが効いているのです。G7のなかでいちばん景気の落ち込みが低い。いまはコロナ禍で抑圧された貯蓄もありますから、どこかで火がつけば爆発するかも知れません。
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