5回目の宇宙滞在から帰国 若田光一宇宙飛行士インタビュー(後編)

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「報道部畑中デスクの独り言」(第328回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、若田光一宇宙飛行士へのインタビューについて---

若田光一宇宙飛行士(5月29日 JAXA東京事務所で撮影)

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5ヵ月余りの国際宇宙ステーションの長期滞在から無事に帰還した、宇宙飛行士の若田光一さん。宇宙滞在は5回を数え、合計の滞在日数は504.8日と、日本人で最多となりました。まさにベテラン宇宙飛行士の若田さん。インタビューの後半は、将来の月面探査に向けた実験の数々、そして今後について聞きました。

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(畑中)今回は月面探査につながるさまざまな実験も行ったということですが、そのなかでいちばん印象的なものは?

(若田)特に今回、きぼう日本実験棟のなかで、汗とか尿、水を飲み水まで再生する技術、水再生装置、その技術を実証するという作業があったんですね。これは持続的に地球低軌道での活動、そして、月探査を、その先へと人類の活動を進めていくときに非常に重要なシステムなんですね。

水って結構重たいんですよね。ロケットで毎回必要な水を打ち上げていると、当然水の代わりに本当だったら実験装置とか、それ以外のものを打ち上げられるのに、水の打ち上げのためにいろいろなリソースを使わなければいけないことになりますから、水を再生できる能力は非常に重要。

日本の特色は小型で、しかも電力の消費が少ない、そういうシステムなんですね。やはり地球から遠くなれば遠くなるほど、システム自体は非常にコンパクトでなければならない。遠くに打ち上げるためにはいろいろなコストがかかりますので、なるべく小さいもの、電力消費が小さいものというのは効率的に環境制御していくために重要なシステムですので、そういう意味で今回の技術実証は非常に重要なミッションだと思います。

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水再生技術実証システム(JAXA提供)

水再生技術実証システム(JAXA提供)

トラブル解決、船外活動、数々の実験……宇宙飛行士はまさに命がけの仕事と実感します。ただ、そのなかでも若田さんはスタッフや関係者に感謝の気持ちを忘れない……若田さんが謳う「和」の精神が凝縮されていると感じます。

そして、若田さんの今後について、こんな感じで話を聞きました。

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(畑中)若田さんはあと2ヵ月ほどで還暦……。

(若田)そうですね、あっという間に。

(畑中)実感は?

(若田)あんまりないですね。今回も軌道上に毎日しっかりと運動できたというのもありますけれども、年齢によって宇宙での体調の変化の状況だとか疲労だとか、宇宙から帰ってきたときのリハビリとか、体力の回復等で、変化があるのかなと思ったんですけれど、あんまりこれまでとは変化がないなと思っています。日々の運動、食事、睡眠のバランスをきちんととっていくと、結構長続きするんだなと感じました。

(畑中)「人生100年時代」と言いますけれども、いまの若田さんを見ていますと、若田さん、軽く100歳まで生きるような気がします。

(若田)(笑)なかなかそこまでいかないかなと思いますけれど、いまのところは、結構体力を使う仕事とかも、有人宇宙活動でありますし、船外活動なんかもありますけれども。きちんと運動しておくと、この年齢でも問題なく対応できるんだなというのを実感しました。

日本の実験棟きぼうで水再生装置技術実証を行う若田光一さん(JAXA提供)

日本の実験棟きぼうで水再生装置技術実証を行う若田光一さん(JAXA提供)

(畑中)となると、まだまだこれから。時間的にはまだ月に行けそうだなという感じもするんですが……。

(若田)いや、もう私は月でも火星でも、その先でも行きたいなと思いますけれども、今回私が宇宙に滞在しているときに、新しい宇宙飛行士の候補者の仲間が2名加わって。諏訪さん、米田さんですね、仲間のJAXAの宇宙飛行士たちが地球低軌道のISSだけでなく、月周回、月面に立つ日を夢見て、彼らがとにかく確実に月で活躍できるように、これまでの経験を活かして、モノづくりのところで貢献したいなと思います。

(畑中)若田さんのこれからの夢は?

(若田)2030年までの国際宇宙ステーションの運用、そしてその先も地球低軌道の活用をきちんと進めていくということで、持続的な活動のために貢献する。2つ目が月周回、月探査、そこで日本は主体的な役割を果たしていけるように、そこに私も宇宙飛行士として、現場で貢献していきたい。その先にある将来の夢というのは、将来日本から、種子島から人間、日本そして世界の人たちを送り届けることができるようなシステムを構築していくのが、私の大きな夢として、努力していきたいなと思っています。

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健康の秘訣をお聞きしたような感じになりましたが……将来の月面探査を後輩、新世代の宇宙飛行士にバトンを託しながら、サポートに徹する姿勢……その一方で、「自らも月に行きたい」という秘めたるものも感じました。

若田光一さんと筆者 筆者より3つ年上の若田さんだが、まだまだ若々しい(5月29日 JAXA東京事務所で撮影)

若田光一さんと筆者 筆者より3つ年上の若田さんだが、まだまだ若々しい(5月29日 JAXA東京事務所で撮影)

最後はこんな話を。先の記者会見で若田さんは、圧倒的に人気のある宇宙食は、「日本の白いご飯」と話していました。となると、やっぱりこれが知りたくなります。

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(畑中)白いご飯にいちばん合うおかずは?

(若田)1つというとないですね。きんぴらごぼうですとか、カレーですとか、サバ缶とか、おいしいものがたくさんあって、それにすべて合うので、白いご飯が海外の宇宙飛行士にもとても人気だったのかなと思います。白いご飯だけ食べている仲間の宇宙飛行士もいましたね。本当においしいご飯です。

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白いご飯……これも日本の誇るべきものだと思います。しかし、宇宙ではきんぴらごぼうも食べられる……これは知りませんでした。(了)

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