大手電力7社が電気料金値上げ 10月はさらに「2割」上がることに
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第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣が6月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。大手電力7社による電気料金の値上げについて解説した。
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大手電力7社が6月1日から電気料金を値上げ ~原発を稼働させている九電と関電は値上げせず
飯田)6月1日になり、いろいろなものの値段が変わります。家庭の電気料金に関しては、大手電力7社が6月から値上げを実施します。値上げについては既に発表されていましたが、地域会社でばらつきがある感じです。
永濱)原発を動かしている九電と関電は値上げしないということです。月あたりの家庭の金額で言うと、2000円ぐらい違います。地域差が非常に大きいですね。
飯田)昔はいろいろな計算方法があっても、結局は同じだというようなことが言われましたが、こうなると住むところによって変わりますね。
永濱)これが長引いてしまうと、産業の集積などにも影響が出てくる可能性があります。そういう意味では、原発の安全性をしっかりと確保した上で、できるだけ早めに稼働できるようにしてもらいたいなと思います。
電気料金が安いことも影響か ~九州経済が活発
飯田)企業にとっては、どこに立地して生産するかの判断にも影響しますよね。
永濱)しますね。九州にはTSMC熊本工場をはじめ、いろいろな工場が集まっています。その理由の1つには、電気料金が安いことも少なからず影響しているのではないでしょうか。
飯田)高等専門学校や大学などにも影響が出ていますよね。
永濱)熊本大学に半導体学科が新設されましたし、高専でも半導体教育の拡充、かつ技術者の人材争奪戦で賃上げが進んでいます。いま、九州経済は相対的にいいですよね。
飯田)日本全国で見て。以前はトヨタもあるし、中部地方が独り勝ちで引っ張っていましたが、重心が変わってきていますか?
永濱)変わっていますね。逆に言うと、そういう動きが全国に広がっていけば、日本経済全体で地方経済を底上げできるので、いい方向に進むと思うのですが。
飯田)そうですね。
永濱)残念ながら、電気料金が高くなると集積にもマイナスになってしまうので、ここは平準化して欲しいと思います。
電気・ガス料金の経済対策の期限は9月末まで ~10月以降、2割くらいまた電気料金が上がる
飯田)電気料金の今後の推移について、7月になると今度は少し安くなるかも知れないというような報道もありますが。
永濱)それは燃料費調整制度のことですか?
飯田)なるほど、燃料費調整制度でしたか。
永濱)化石燃料が下がっているので、それで下がるのですが、注意が必要です。いまは政府の経済対策で2割ぐらい電気・ガス料金が下がっていますが、その期限は9月末までです。
飯田)9月末まで。
永濱)そこでやめると、一気に2割ぐらい「ドーン」とまた電気料金が上がります。
飯田)なるほど。
永濱)電気料金は生活必需品ではないですか。結局、電気料金の値上げは実質的な可処分所得の低下につながるので、そういった意味でも、景気への影響は無視できないと思います。
ガソリンは補助金が削減されてもそれほど上がらない
飯田)ガソリンの補助金に関しては、9月まで段階的に削減していくという話が既に出ていますよね。
永濱)ただ、ガソリンについては、私の計算に基づけば、実はもう原油価格が下がっているので、計算すると9月にやめてもそれほど上がらないと思います。
飯田)でも電気の方は痛い。
永濱)電気は上がると思います。