自衛官候補生銃撃事件 指導教官が全員を管理することの「限界」

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元航空自衛官で評論家の潮匡人氏が6月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自衛官候補生の発砲事件について解説した。

自衛官候補生銃撃事件 指導教官が全員を管理することの「限界」

【陸自射撃場で発砲】自衛官候補生が発砲し、自衛隊員が死傷した射撃練習場 施設から出る自衛隊の車両=2023年6月14日午後、岐阜県県岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場 写真提供:産経新聞社

自衛官候補生発砲事件

飯田)陸上自衛隊の射撃場で起きた発砲事件について伺います。新兵教育のなかでの事件ですが、このようなことが起こり得るものなのでしょうか?

潮)起こり得るから起きているのだと言えますが、もちろん、あってはならないことです。実弾射撃ですので、他の訓練に比べても、よりさまざまな安全管理が施されていたとは思いますが、結果的にこういう事件が起きてしまった。落ち度があったのは否めないと思います。

「まさかそんなことは起きない」とどこかで思っていた可能性も ~全員を管理するには限界がある

弁護士・野村修也)現場では基本的に教官など、いろいろな方が関与していました。弾を込めるときも旗を掲げ、確認してから次のステップへ進むような段取りだと思いますが、かなり厳格であるにも関わらず、今回のような事件が起きてしまった。最終的に、銃口を人に向けることができるという部分に関して、改善の余地はないのでしょうか?

潮)もちろん改善の余地はあると思います。私も現役時代、新隊員の教育課程の副隊長という、指導教官のような仕事をしたことがあります。実弾射撃訓練では、まさに今回の被害者のような立場に立っていたわけで、他人事とは思えません。

飯田)そうなのですね。

潮)自分自身の体験を踏まえても、全員に目が届くかと言うと、人間ですので限界もあります。従って、多くの同僚隊員などとともに安全管理を行うようなやり方しかないと感じますが、「まさかこんなことは起きない」とどこかで思っていた可能性もあります。

有事を想定しての訓練 ~安全装置を付けない訓練も必要

野村)射撃場ではよく、銃口が右や左に動かないよう銃口を固定する場合もありますが、今回のような訓練だと、そういう安全装置は付けられないのでしょうか?

潮)そうした訓練も一方ではあっていいと思うのですが、1つだけ言えるとすると、実際の有事を想定した訓練を行うことが基本です。

飯田)有事を想定して。

潮)実際に戦場へそういうものを持っていけるかと考えると難しい。そうしたものを使わず、有事を想定した射撃訓練もいずれどこかで行う必要があるのだと思います。

映画で観る戦場のような光景のなかで、普段とは違う行動を取る可能性も

飯田)候補生の適格性審査などに関してはいかがですか?

潮)「どこまで面接したら心のなかが見えるのか」というような問題もあると思います。私が実際に学生として射撃を行った体験を踏まえて言うと、初めて武器を手に取った人間は緊張します。

飯田)初めて武器を手にした場合。

潮)そこに実弾があり、実際に自分が撃つというときの緊張感は、一般的な日本人であれば経験しないことです。

飯田)そうですね。

潮)しかも周りでは大きな音がするわけです。場合によっては土煙なども立ち、まさに映画で観る戦場のような光景のなかに自分がいる。そんな状況のなかで、普段なら取らないような行動を取ってしまう可能性もあります。入隊のプロセスをいくら考えても、こういう事件が起きないとは言えないと思います。

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