「処理水」海洋放出の一方で進む 「トリチウムを除去する」日本の技術

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ジャーナリストの須田慎一郎が7月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。福島第一原発の処理水の海洋放出について解説した。

「処理水」海洋放出の一方で進む 「トリチウムを除去する」日本の技術

処理水のトリチウム濃度を調べるために試料採取する専用機器=2023年6月26日午後、福島第1原発構内 写真提供:産経新聞社

処理水の海洋放出

東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、政府は岸田総理が関係閣僚会議を開催した上で、周知期間を設けて放出を始める段取りを想定。「夏ごろ」としてきた開始時期は、政治日程などから8月中が有力とみられる。

飯田)IAEAの事務局長が来日していましたが。

2022年に開催されたIAEAの総会では「政治的な思惑で判断が揺るがないように」ということが共有

須田)昨年(2022年)11月にオーストリアのウィーンでIAEAの総会が開かれたのですが、福島第一原発の処理水の海洋放出は大きなテーマになっていました。

飯田)IAEAの総会でも。

須田)IAEAにとっても、この問題に対する向き合い方は重要なのだと思います。そのときにも懸念されていましたが、これが国際的なある種の政治カード、政治的な思惑で判断が揺るがないようにということが共有されていました。

飯田)国内外の反対、特に中国や韓国に対して。

須田)そうですね。ただ、韓国はここへきて、現実的な判断に傾きつつあるので、日本もそれに対して丁寧に説明していく。そして、中国に対してどう対応していくかが今後の課題になるでしょうが、問題になっているのは、処理水のなかに入っているトリチウムです。

飯田)そうですね。

須田)では、どのくらい入っているのかと言うと、東京ドームのなかに野球ボールが2~3個あるくらいのレベルだということです。

トリチウムを取り出す技術が確立されている日本 ~大量の処理水に対応するためにさらなる実験が必要

須田)ですから、それを除去するのは相当難易度が高いし、技術的には難しいと言われています。しかし、日本の技術は優れており、水をシャーベット状にすることによって、遠心分離機に掛けて除去する技術が確立しているのです。

飯田)除去することができる。

須田)ただ、現実的に大量の処理水に対応できるかどうかは、プロトタイプのものをつくって実験していかなければならないので、お金も時間も掛かってしまうのです。

第一段階として、安全基準に達している処理水を放出 ~次のステージではトリチウムの除去を

須田)それを進める一方で、いまは安全基準に達しているものを放出していこうという、第一段階の判断なのです。次はトリチウムを「除去できるか、できないか」というところを試みていく。今後、永遠にトリチウムが入っている処理水が出ていくわけではないのです。

飯田)第一段階としての海洋放出である。

須田)近隣諸国に対して安全認識を持ってもらうためにも、やる必要はないのだけれど、「やらないよりはやった方がいい」という意識で、次のステージではトリチウムの除去に入っていくということです。

飯田)その辺りはコストとの見合いなども含めて進めるのでしょうか?

須田)そうですね。

将来的には取り出したトリチウムが1つのエネルギー源になる可能性も

飯田)いままで捨てていたものですが、トリチウムを取り出すことができて、それを何らかの形で使うことができれば、またチャンスが広がりますよね?

須田)そうなのです。IAEAの総会においてもメーカーがブースを出しています。そのブースに対しては、カナダがかなり興味を持って訪れていたという話も聞いています。

飯田)技術はいろいろ進歩する部分があるのですね。

須田)将来的にはトリチウムが1つのエネルギー源となる可能性もありますからね。その技術を活かし、実用化へ向けて取り組んでいってもらいたいですね。

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