米軍のアフガニスタン撤退以降「揺れる中東」 この時期の岸田総理の訪問は重要な意味を持つ

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が7月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理の中東訪問について解説した。

米軍のアフガニスタン撤退以降「揺れる中東」 この時期の岸田総理の訪問は重要な意味を持つ

2023年7月12日、発言する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202307/12bura.html)

岸田総理が16日から初の中東訪問

政府は、岸田総理が7月16日~19日の日程でサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの中東3ヵ国を訪問すると発表した。各国首脳との会談ではエネルギーの安定供給を働きかける他、脱炭素での協力を深める方針。日本の総理大臣の中東訪問は2020年1月以来、約3年半ぶりで、岸田総理にとっては初めての中東訪問となる。

アメリカがアフガニスタンから撤退したことで、保険を掛け合うようになった中東諸国

飯田)コロナ禍以来なのですね。

宮家)2020年はまだ、イスラエルとアラブ首長国連邦の関係があまりよくなくて、サウジとイランもよくなかった。また、サウジがイエメン戦争に介入したり、どちらかと言うと混沌とした時代でした。

飯田)混沌としていた。

宮家)いま、この地域で何が起きているかと言うと、2021年8月にアメリカがアフガニスタンから撤退しました。各国は「アメリカはこれからインド太平洋方面に行ってしまう。アメリカは出て行くのだ」と考え始めています。

飯田)中東から。

宮家)そうなると「我々の安全保障はどうなるのだろう」とみんな心配するわけです。イスラエルもサウジもそうです。イランだけは笑って「チャンスだ」と思っているけれど。

飯田)イランだけは。

宮家)大きな動きではないけれど、水面下で各国、自分たちの安全保障をどう確保するか、微妙な外交活動が動いています。

アブラハム合意によってイスラエ

アブラハム合意によってイスラエルと湾岸諸国の一部の関係が改善 ~サウジアラビアとイランも国交回復

宮家)要するに保険を掛け合っているわけです。イスラエルと一部の湾岸諸国は「アブラハム合意」という形で関係を改善した。最近では、サウジアラビアとイランも関係改善をしています。

飯田)そうですね。

宮家)逆にイランとの関係では、サウジはイランが怖いのだけれど、バイデン大統領とサウジ皇太子の関係が悪く、アメリカを完全には頼れない。そういう意味で、サウジもいろいろ考えた末、新しい安全保障のあり方を考えなければならず、みんな保険を掛け直しているわけです。

イラン革命以来の大きな動きがあるこの時期の岸田総理の訪問

宮家)イランで革命が起きた1978年以来の、大きな動きの1つだと思います。中東・湾岸地域が変わっていくときに、日本の総理が訪問するというのは、タイミングとしては極めていい時期です。

飯田)一方で、イスラエルは政権交代しましたが、イランとの間はかなり険悪になっている。

宮家)険悪です。イランはこのままいけば核武装しますからね。いまは部分的ではあるけれど、ウラン濃縮度が84%まで到達したという報道もあります。9割になれば核爆弾のレベルですから。

飯田)そうですね。

宮家)その状況のなかで、イスラエルもサウジアラビアもイランも、みんな浮き足立っています。このようなときに、日本がやるべきことをやればいいのではないでしょうか。

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