日本の「人材難・人手不足」を解消するために必要なこと

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が7月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本の人材難、人手不足について解説した。

日本の「人材難・人手不足」を解消するために必要なこと

※画像はイメージです

自衛隊の求人難 ~外務省職員の相次ぐ退職

飯田)産経新聞の連載コラム『宮家邦彦のWorld Watch』7月13日付の紙面で、自衛隊の求人難、また外務省職員の相次ぐ退職、働き方改革の功罪について書かれています。

宮家)人口が減っていることはわかっていましたが、最近の若い人の仕事の仕方は、私たち昭和世代とは大きく違うわけです。

飯田)昭和の時代とは。

宮家)我々のように、入社して何となく働いて……という時代とは違い、今の若者はやりたいことが決まっていて、それができないのであれば辞めてしまう人が多い。防衛省は組織ですから、価値観がしっかりしている若い人が必要なのだけれど、なかなかリクルートが難しいのです。

飯田)人が集まらない。

宮家)外務省は外務省で20代後半、35歳になる前に辞めてしまう人が多いのだそうです。そうすると空洞化が進んでしまう。管理職は残業していいのですが、若い人は残業してはいけません。

飯田)残業に規制があるので。

宮家)しかし、若い人がいなくなってしまうわけだから、残業はすべて管理職が行っているのだそうです。管理職になっても残業はあるのですね。

飯田)いまは。

宮家)このままいくと優秀な人材は官僚組織にいなくなる。もしくは大企業にもいなくなり、外国へ行ってしまいます。そんなことになれば、ますます日本の競争力が落ちることになります。

広範囲の海域を担当する呉地方隊 ~人材不足を何とかしなければ次世代にバトンを渡せない

飯田)宮家さんのコラムを読むと、広島の呉市を訪れたという話が書かれていましたが、呉市からメールをいただきました。“HGテル”さんという方からです。「宮家さんのお話を聞ける機会に恵まれて、質問までできました。生の宮家さんが真摯に答えてくださり、約2時間があっという間に過ぎ去って感謝感激でした。いわゆる地政学がよくわかりました。大変ありがとうございます。またお会いできることを楽しみにしております」といただきました。

宮家)ありがとうございます。お話をしたあと、呉市の海上自衛隊の地方総監とお会いしましたが、話を聞いたら大変なようです。九州と瀬戸内海の山陽地域、四国全部、奈良県、和歌山県、大阪府、兵庫県と、すべて彼らが担当しているわけです。

飯田)大阪・兵庫も含めて。

宮家)部隊の維持も当然ですが、災害派遣もありますので、大変だなと感心しました。その忙しい総監が「人が足りない」と言うのです。

飯田)海上自衛隊は特に、一旦船を出すと長い間、任務に就かなければならない。

宮家)あそこは東京都の沖ノ鳥島も担当しているのだそうです。

飯田)ものすごく広い海域を担当することになる。

宮家)同時に人材難、人手不足を何とかしないと次の世代、次の次の世代にバトンを渡せなくなってしまうのではないかと、すごく心配していました。

シンガポールの高度人材ビザの条件は月給50万円以上 ~若く優秀な人材も50万円は貰っていない

飯田)いままでは心意気で仕事をして、それが国の役に立つ、あるいは政策になって実現するなど、偉くなるとそういう景色が見えてくる傾向もあったけれど。

宮家)昔は役人だったら、いい言葉ではありませんが「天下り」があって、辞めたあとはどこかへ就職できたわけです。しかし現在、それも形としては禁止です。路頭に迷うとは言わないけれど、大変な時代であり、社会契約が変わってしまった。

飯田)キャリアパスの見通しがつかないのですね。

宮家)若い人はシンガポールなど、海外にいい仕事場があるので、外国を目指すわけです。ところが、シンガポールには高度人材のビザがあるのですが、最近ビザの条件が厳しくなってしまい、ビザを申請するには月給50万円以上ないとダメなのだそうです。

飯田)そうなのですか。

宮家)日本の若い優秀な人でも、50万円などという給料は貰っていないではないですか。だからそのビザも取れず、「どこへ行けばいいのか」と。しかも日本の給料は安いから、外国からもいい人材が来ません。だからの本の産業は空洞化してしまうのかと思い、愕然としました。

意欲のある人材がいい仕事をすることで、新しいビジネスや技術が創出される ~そうしなければ先は見えない

飯田)いろいろなところで人手不足になっています。

宮家)公務員だけでなく、大企業も同じだと聞きました。

飯田)働き方改革により、残業に関しては規制が掛かりましたが、問題は中身の部分ですか?

宮家)そういう有為な人たちは、残業を厭わないのです。がむしゃらにやればいいというものではありませんが、やりたいことなら没頭できるわけです。それが「ダメだ」と言われたら、「もういいや」となって辞めてしまい、管理職が残業する。それはおかしいでしょう。

飯田)「高度プロフェッショナル制度」という制度がありますが、働き方改革で法改正を行うときに、とても批判されました。「残業を青天井で働かせるための道具だ」と言われ、適用職種を相当絞ってしまっています。

宮家)「みんな平等にやらなければいけない」というのはわかるけれど、意欲のある、いい意味でのエリートには、制約を掛けず自由にやらせた方がいいのではないでしょうか。よい仕事をするなかで、新しいビジネスや技術が創出される。そのように進めていかないと、日本は先が見えないのではないかと心配しています。

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