ゲイ・バイセクシュアル男性を対象にした性感染症の検査と治療を行う「SH外来」の現状と今後

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東京都医師会広報委員で国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター(ACC)病院広報管理部門長の菊池嘉氏が7月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。ACCの「SH外来」について語った。

ゲイ・バイセクシュアル男性を対象にした性感染症の検査と治療を行う「SH外来」の現状と今後

※画像はイメージです

SH外来 ~HIV感染していないゲイ・バイセクシュアルの男性を対象とした研究から始まった

飯田浩司アナウンサー)先生がお勤めの「国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター」には、HIVに罹っていない方々が通う外来があると聞きました。

菊池)2017年から始まった「SH(Sexual Health)外来」があります。HIVに感染していない方で、ゲイ・バイセクシュアルの男性を対象とした研究から始まったものです。

飯田)HIV感染していないゲイ・バイセクシュアルの男性の研究。

菊池)この研究によって曝露前予防内服「PrEP(プレップ)」が厚生労働省に認可されていれば、この外来自体がいろいろな形に発展していったはずでした。しかし、未だに認可されず困っている現状があります。

2017年から6年間、定期的な検査を行い、データを記録

飯田)ある意味で従来、最もHIV感染のリスクが高い方々を対象にする。研究がベースということは、それなりの数の方々が検査しに来るのですか?

菊池)口コミなどで広がりましたが、検査には多少お金をいただいています。無料にして匿名化してしまうと、正しい結果がわからなくなりますので、保険証をお持ちいただき、病院の診察券番号も発行した上で、毎回検査を受けていただきます。2017年から6年間、定期的に検査している状況です。

飯田)その治験によって、データが溜まっていくのですね。

ゲイ・バイセクシュアル男性を対象にした性感染症の検査と治療を行う「SH外来」の現状と今後

新行市佳アナウンサー、菊池嘉氏、飯田浩司アナウンサー

SH外来の研究からPrEPの効果を科学的に証明しても厚生労働省からの認可は認められず

菊池)2017年にSH外来を立ち上げて、薬を飲みたいという人に製薬企業からいただいた薬を配り、確実に飲んでもらい、その効果を確認しました。一方、外来に来てくださる方には薬を飲みたくないという人もいますので、その方々を対象とさせていただきました。

飯田)薬を服用する人と、しない人を。

菊池)片方からは「PrEPを使っていると発症しない」、逆にPrEPを使わない方は「やはり発症する」ということを確認すれば、PrEPの効果を科学的に証明できるので、それをもって厚生労働省に認可していただこうという試みでした。

飯田)なるほど。

菊池)これは海外でやっていた方法に倣ったまでで、新たなことを行ったわけではありません。しかし、それでも厚労省が認めてくれないのです。研究という意味では、データも集まったので、この外来を閉じてしまってもいいのかも知れません。

飯田)SH外来を。

菊池)ACCのホームページで情報を見てくださった方には申し訳ないのですが、新規の受付は中止させていただきました。今後はいままで来てくださった方々をフォローしていく方針です。

「疑わしい」と思ったら、必ずHIV検査を

飯田)最後に、メッセージがあればお願いいたします。

菊池)HIVは、検査して初めて感染していたことがわかります。いまは感染しても治療薬があり、もはや死の病ではありません。まず検査を行い、自分の健康状態を確認することから始めていただきたいです。「疑わしいな」と思ったら検査し、正しく検査結果を理解してください。

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