中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也と元経産省官僚で政策アナリストの石川和男が8月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の少子化対策について解説した。
2023年上半期の子どもの出生数、去年から3.6%減
厚生労働省の人口動態統計によると、2023年上半期の子どもの出生数は37万1000人余りで、前年同期と比べて3.6%減となった。
長い期間を掛けないと家族を持てない若者
飯田)去年(2022年)は出生数が80万人を割り、過去最低と言われたのに、さらに悪いというか少ない数字が出てきました。野村さんは大学で若い人たちを見ていると思いますが、やはり意識が違いますか?
野村)1つは、自分が社会のなかである一定のポジションを得て、仕事などの役割を担うまでの期間が長くなっているのです。つまり、学ばなければいけない、身につけなければいけないことがたくさんあって、働き始めてすぐに生活を安定させることが難しい。
飯田)生活を安定させることが。
野村)一方では所得が非常に乏しく、将来の見通しが立たない。いずれにせよ若者たちは本当に長い期間を掛けないと、家族を持てないような状況に陥っている。これが大きな問題としてあります。
「異次元の」と言うのであれば、もっと政治メッセージを打ち出すべき
飯田)岸田政権は「異次元の少子化対策」と言っていますけれど。
石川)異次元の少子化対策が、もし1兆円や3兆円ではなく、10兆円や30兆円であれば、若者も「それならば」と思う人が出てくるかも知れません。
飯田)10兆円や30兆円なら。
石川)「異次元の」と言うのであれば、もっと政治メッセージを打ち出して欲しいですね。
これから結婚する、あるいは、これから子どもを産もうという人たちの「気持ちを変える」ことに力を入れるべき ~岸田政権の少子化対策は既に子どもを持っている人たちに重点を置いている
石川)子どもを産み育てる、あるいは「結婚」に対して、「少子化だ」などの暗い話が多いのですよ。
飯田)そうですね。
石川)難しいかも知れませんが、1つの提案としては、全メディアで談合し、「結婚して家庭をつくればこんなにいいことがある」と打ち出すべきだと思います。
飯田)全メディアで。
石川)「結婚はいいことである」と何年かメディアで報じ続ければ、少子化も反転するのではないでしょうか。先日、少子化対策で有名な大学の先生の講演を拝聴したときに、「なるほど。これは気持ちの問題だ」と思ったのです。
飯田)気持ちの問題。
石川)「少しは苦労するけれど、結果的に子育てはこんなにいいものだ」ということをキャンペーン的に打ち出すのです。国には「そういうところに予算を出して欲しい」と言いたいですね。
野村)岸田政権の少子化対策は、既に子どもを持っている人たちに重点を置いているけれど、政策として、これから結婚する、あるいは、これから子どもを産もうという人たちの「気持ちを変える」ことに力を入れるべきではないでしょうか。
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