外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が9月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。林外相の中東歴訪について解説した。
米軍のアフガニスタン撤退から2年、外交ポジションを変える中東諸国 ~そのなかでサウジアラビアとイスラエルの国交正常化を働きかけるアメリカ
飯田)林外務大臣が中東を歴訪しています。
宮家)7月に岸田さんがサウジアラビアとアラブ首長国連邦、カタールの3ヵ国を訪問しましたが、これはとても重要だったと思います。いま中東で何が起きているかと言うと、2021年8月末にアフガニスタンから米軍が撤退してから、2年が経ちました。
飯田)もう2年なのですね。
宮家)以降、「アメリカが中東から出ていくのではないか」という強い疑心暗鬼があり、中東諸国は外交ポジションを少しずつ変えようとしています。そのなかで、いままで対立していたサウジアラビアとイランが関係を改善した。それから、イスラエルと湾岸諸国の一部がアブラハム合意で関係を正常化するなど、いろいろ水面下で動いているわけです。
飯田)そうですね。
宮家)残念ながら今のアメリカは、イスラエルやサウジアラビアと関係がよくありません。そのアメリカがいま、必死でイスラエルとサウジを仲よくさせようとしているわけです。
物事が動くときに日本が入り、政治的役割を果たすことは重要 ~中東歴訪中の林外相がサウジと初の戦略対話を行う
宮家)物事が大きく動いているときに日本が入っていき、それなりの政治的な役割を果たすことは大事だと思います。7月に岸田総理が訪問したとき、サウジアラビアと戦略対話を開催するという方針で、ムハンマド皇太子との間で一致したのですが。
飯田)7月の訪問の際に。
宮家)その後間を置かずに外務大臣を送り、対話していることは、方向性としては極めて健全で正しいと思います。
飯田)林外相は7日、サウジアラビアの首都リヤドで、ファイサル外相と戦略対話を行いました。
中東が安定すればアメリカは東アジアに軸足を置くことができる ~日本にとって、中東の安定は必要
宮家)日本は中東にとってただの石油とガスのバイヤーではありません。この地域の安定はエネルギーだけでなく、日本の安全保障においても重要な役割を果たすわけですから、日本はこの地域にもっと積極的に関与していいと思います。
飯田)ここが安定してくれると、アメリカとしても東アジアに軸足をしっかりと置くことができる。
宮家)中東が安定しなければヨーロッパも揺れてしまいます。そうなるとアジアも安定しない。その意味でも、中東の安定は大事だと思います。
飯田)その部分の国益は大きいのですね。
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