日本経済新聞社中国総局長の桃井裕理氏が10月4日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。中国からの団体海外旅行が解禁された国に中国移民が多いカナダが含まれていない理由について、優秀な人材や資金の国外流出を中国政府が警戒している可能性を指摘した。
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利用者であふれる重慶市の重慶北駅。中国で中秋節と国慶節の8連休初日となった9月29日、各地の鉄道は混雑のピークを迎えた。(重慶=新華社記者/劉潺) 2023年9月29日 新華社/共同通信イメージズ
中国では9月29日から10月6日まで、日本の十五夜にあたる「中秋節」と、建国記念日にあたる「国慶節」に合わせた大型連休となっている。「ゼロコロナ」政策が今年1月に正式に終わり、帰省や旅行に出る人が多く、連休中に延べ20億5000万人の移動が見込まれている。一方、日本政府観光局が発表した訪日客数によると、今年8月の中国人訪日客はコロナ禍前の2019年と比べて36%の36万4000人だった。
桃井)中国の富裕層を中心に、「チャンスがあれば国外に移住したい」と皆が言います。仕事さえ得られれば、国外移住を望んでいる人は多いです。
辛坊)移住先としてはカナダが人気だという話を聞きますが、どうなんでしょうか。
桃井)カナダは人気です。ただ、新型コロナ禍の行動制限が解かれ、中国発の団体海外旅行が解禁になりましたが、カナダは対象にはなっていません。
中国政府は今、国内から逃げだす移民をすごく気にしています。お金を持っている人や、仕事を海外で探せるような優秀な人たちほど、海外へ逃げだしたがっているためです。
カナダは中国からの移民大国です。中国政府が嫌う日本やアメリカへの団体旅行を解禁したにもかかわらず、カナダを解禁していない理由は、そこだと思います。
辛坊)つまり、旅行では済まず、そのまま逃げだしてしまうのではないかと、中国政府が警戒しているということですね。