『アンダーカレント』真木よう子主演、カルト的人気漫画を実写映画化
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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1140回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、10月6日公開の『アンダーカレント』と『アナログ』をご紹介します。
映画館で観たい!『アンダーカレント』 ~人が人を理解するとは、どういうことだろう……
寡作な人気漫画家・豊田徹也が手がけた唯一の長編漫画『アンダーカレント』。
連載当時から「まるで1本の映画を観ているよう」だと、漫画評論家や読者から高い評価を受け、2020年にフランスのメディアが発表した「2000年以降の絶対に読むべき漫画100選」では、世界中の名だたる漫画がランクインするなか、堂々の3位に選出。
世界中で根強い人気を誇る伝説的漫画が、満を持しての実写映画化となりました。
『アンダーカレント』のあらすじ
家業の銭湯「月乃湯」を継いで、夫・悟とともに幸せな日々を送っていた関口かなえ。ところがある日、悟が突然失踪。かなえは、途方に暮れてしまう。
それでも何とか、一時休業していた銭湯の営業を再開させることに。その数日後、かなえの元に現れたのが堀隆之。銭湯組合からの紹介で「月乃湯」を訪れたその男は、住み込みで働くことになり、2人の奇妙な共同生活がスタートする。
その一方で、かなえは胡散臭い探偵・山崎に悟の捜索を依頼。すると悟に関する知られざる事実が、次々と発覚して……。
『アンダーカレント』のみどころ
主演を務めたのは、本作が5年ぶりの主演映画となる真木よう子。
周囲の人々からはサバサバとした性格だと捉えられがちだけれど、心の奥底には、自らも気付かずに覆い隠してしまった闇を抱えている。そんな主人公の心の揺れを、繊細に表現しています。
銭湯「月乃湯」にやって来る謎の男・堀隆之役は井浦新、失踪したかなえの夫・悟役は永山瑛太。そして探偵・山崎役には、原作者の豊田氏が漫画を描く際にモデルとしたというリリー・フランキー。
数々の映画やドラマで深い印象を残す実力派俳優たちが、真木よう子とどのような化学反応を起こしていくかにも注目ですよ。
人々の“心の奥底=アンダーカレント”に隠された、“嘘”や“秘密”がテーマとなっている本作。かなえ、堀、悟。それぞれのなかに潜む心情を丁寧に紡ぐことで、リアルかつ瑞々しい人間ドラマへと昇華させた、今泉力哉監督の手腕はお見事です。
人の心の複雑さを痛感すると同時に、目には見えない感情も含めて相手を受け入れていくことの大切さに、改めて気付かされる人も多いのではないでしょうか。
偽りも真実も、すべてをそっと受け入れる。銭湯のお湯にどっぷり浸かったときの爽快さにも似た、温もりに包まれる感動作です。
コチラも映画館で観たい!『アナログ』 ~いつの時代も変わらない、愛の原点がここにある
ビートたけしが初めて上梓した恋愛小説を、二宮和也と波瑠で映画化した『アナログ』。
手づくりにこだわりを持つデザイナーと、携帯電話を持たないミステリアスな女性。2人の恋の行方は……。
SNSやスマホの存在が当たり前となった昨今。大切な人に、ただ会いたい。“アナログ”な人と人とのつながりが丁寧に紡がれていて、まるで心が洗われるよう。
この秋、いちばん美しい珠玉のラブストーリーです。
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『アンダーカレント』
2023年10月6日(金)から全国ロードショー
出演:真木よう子、井浦新、リリー・フランキー、永山瑛太、江口のりこ、中村久美、康すおん、内田理央
監督:今泉力哉
音楽:細野晴臣
原作:豊田徹也『アンダーカレント』(講談社「アフタヌーンKC」刊)
脚本:澤井香織、今泉力哉
製作幹事:ジョーカーフィルムズ、朝日新聞社
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援)、独立行政法人日本芸術文化振興会
配給:KADOKAWA
(C)豊田徹也/講談社 (C)2023「アンダーカレント」製作委員会
公式サイト https://undercurrent-movie.com
『アナログ』
2023年10月6日(金)から全国ロードショー
出演:二宮和也、波瑠、桐谷健太、浜野謙太、藤原丈一郎(なにわ男子)、坂井真紀、筒井真理子、宮川大輔、佐津川愛美、鈴木浩介、板谷由夏、高橋惠子、リリー・フランキー
監督:タカハタ秀太
原作:ビートたけし『アナログ』(集英社文庫)
脚本:港岳彦
音楽:内澤崇仁
インスパイアソング:幾田りら「With」(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
制作プロダクション:アスミック・エース、AOI Pro.
配給:東宝、アスミック・エース
(C)2023「アナログ」製作委員会 (C)T.N GON Co., Ltd.
公式サイト https://analog-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/