ジャーナリストの須田慎一郎と中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が10月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府が東京地裁に解散命令を請求した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について解説した。
旧統一教会、解散命令請求に反論
-----
-----
飯田)政府が「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に対する解散命令を東京地裁に請求したことをめぐり、教団側は昨日(16日)、記者会見を開きました。安倍元総理の暗殺から始まり1年以上が経ちましたが、ここまできたという感じでしょうか?
須田)かなり丁寧な作業を繰り返して、ここにたどり着いたのだと思います。問題なのは、刑事的な犯罪を行ったわけではなく、民事的な問題を積み上げていったことです。これを裁判所がどう判断するのか。
飯田)裁判所が。
須田)その辺りが注目されるところですが、そうは言っても、死刑求刑ではないのです。宗教活動そのものを禁じるわけではありません。宗教団体としての税制を含めた、さまざまな優遇措置がなくなるだけです。そういった意味では、あそこまで言う必要はないのではないでしょうか。
悪質で組織的に集めた資金が税制上の優遇措置を受けるのであれば、1つの根拠となる
飯田)法律的な面から、野村さんはどうご覧になりますか?
野村)法令違反が1つの要件になっています。その法令とは何かと言うと、これまでは刑事罰でわかりやすかったわけです。しかし、法律上は不法行為自体を損害賠償という形にしていますが、やってはいけないことをやったから損害賠償になっているわけです。ですから、やってはいけない行為をしてきたことは確かです。
飯田)やってはいけない行為を。
野村)単なる1つの行為ではなく、悪質で組織的で、しかも継続的に行われていた。それらが積み上がったことにより、解散命令の根拠になっているので、今回はかなり事例を積み上げたのだと思います。
飯田)事例が積み上がって。
野村)宗教法人は税制上の優遇措置があるではないですか。もし、その悪質で継続的で組織的な資金集めによって得たお金が、税制上の優遇措置を受けるのだとすると、それはおかしな話であり、そこに1つの根拠を見出すことは不自然ではないと思います。
時間が掛かるため、資金が流出してしまう可能性も ~被害者であることを名乗り出ない人をどう救済するか
飯田)今回、事例の1つひとつを積み上げるところで、約5000点にもおよぶ、段ボール20箱分くらいの資料が出されています。これを精査するだけでも時間が掛かりますよね?
野村)相当掛かると思います。宗教法人としては3例目ですが、過去には3年掛かったケースもあります。今回も証拠が多いだけに、長い時間が掛かると思います。その間に資金が流出してしまうのではないかという問題があります。
飯田)資金の流出ですか。
野村)解散命令を受けて解散すると、清算の手続きに入ります。その時点で、被害者の方々からの損害賠償請求を1回、清算するのです。そのときに「もうお金がない」という状態では困る。それが1つ問題になっていて、「法律を整備するべきではないか」という議論が出ています。
飯田)そうですよね。
野村)もう1つが、清算のときには公告を3回打ちますが、名乗り出てこない被害者の方々をどうするのかという問題が残ります。いまは「自分が被害者ではない」と思っていても、いずれ「自分は被害者だったのだ」と思った人たちをどう救うのか。そう考えると、ファンドのようなものをつくらせるという考え方もあると思います。
既に日本法人の資金はほとんどない状況
飯田)「世界平和統一家庭連合」の本体は韓国にあると言われています。資金流出が懸念されますよね。
須田)ただ、献金で集めたお金は、既にほとんど送金されてしまっています。映像にもよく立派な寺院が出てきますが、寺院などの建設費用に使われていて、私が調べたところでは、日本法人の資産や財産はスッカラカンの状況になっているのです。
この記事の画像(全1枚)
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。