習近平国家主席の「影響力の衰え」を表す台湾総統選の状況
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作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴とジャーナリストの須田慎一郎が12月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。台湾総統選について解説した。
台湾総統選挙まであと1ヵ月
2024年の台湾総統選まで、12月13日であと1ヵ月となる。台北市では12月11日、候補者番号を決める抽選会が行われ、総統選挙に立候補した3陣営の代表者が集まった。抽選の結果、1番は第三勢力の民衆党、2番は与党・民進党、3番は最大野党・国民党の順となった。
親中派の「2位・3位連合」が破局し、このままいけば民進党の頼清徳氏が勝つことに
飯田)柯文哲(か・ぶんてつ)氏が1番で、頼清徳(らい・せいとく)氏が2番、侯友宜(こう・ゆうぎ)氏が3番になりました。「2位・3位連合」が破局しましたね。
青山)台湾の総統選挙に関して痛感するのは、習近平国家主席の影響力が衰えたということです。2位・3位の民衆党と国民党は両方とも親中派です。民進党は蔡英文総統の政党ですが、そこだけは排除したいため、中国は「2位・3位連合」を組ませたけれど、結局は台北市長だった柯文哲さんをコントロールすることができなかった。以前、台湾に行ったときに柯文哲さんと同席したのですが、公式な席で前にテレビカメラの放列があり、日本側の代表が挨拶しているとき、カメラの前で平然と大あくびをしていました。あれが台湾の若い層に受けるのです。
飯田)自由奔放なところですね。
青山)自由奔放な柯文哲さんを、中国共産党は抑え込めなかった。もしも「2位・3位連合にするなら、自分が総統だ」と言ったわけです。中国は伝統的な親中派である国民党の侯友宜さんを総統にしたいので、そこで話が決裂してしまったのです。このままいけば、民進党の頼清徳さんが勝つ可能性が高いです。
習近平国家主席の影響力の衰えを表している
青山)そうなると、台湾史上初めて同じ政党が続くことになり、逆に言うと台湾有事のリスクが少し高まります。ただ、私が理解しているのは、中国で起きている異変……国防大臣がいなくなり、李克強さんが突然死んでしまった。また、外務大臣がいなくなってしまうのは、基本的に台湾有事に反対する人がいるからです。党の長老、李克強さんを含め、江沢民さんの側近であった曽慶紅(そう・けいこう)さんが、北戴河会議のときに遅浩田(ち・こうでん)さんという軍トップに……。
飯田)もう90歳以上の方ですね。
青山)かつてのトップですが、影響力はナンバー1です。その人を横に座らせ、これ以上揉めるのはよくないということを言った。揉めるという意味のなかには台湾有事も入っているので、習近平さんが最もやりたいことを否定されているに等しい。それが台湾総統選挙に影響して、いまの状況になっているのだと思います。
飯田)台湾総統選にも影響している。
青山)ただ、民進党の候補である頼清徳さんは、いま蔡英文総統とあまり仲がよくないという話があります。
飯田)派閥が違うという話が出ていますね。
青山)派閥というより、もっと直接的な原因だと思いますが、あと1ヵ月しかありません。しかし、1ヵ月あれば十分にいろいろなことが覆ります。
アメリカの大統領選挙にも手を伸ばすロシアのやり方を真似する中国
飯田)「2位・3位連合」が発表されたのも米中首脳会談の辺りで、「これはやったな」と思いましたが、案外瓦解してしまいましたね。
須田)でも、瓦解したからと言って喜んでいいとは限りません。もちろん中国は民主主義国家ではなく専制主義国家なのですが、選挙という地域にとって根幹中の根幹へ手を突っ込んでくる。それに対して、権力者の意向を反映させるということ自体、どう考えてもおかしいのです。中国のやり口は、それをまったく隠すことなく公言しているという、おかしな状況です。やはり強く批判するべきだと思います。
青山)中国はソ連・ロシアの真似をしているのですよね。ソ連・ロシアはずっと民主主義国家、特にアメリカの大統領選挙や、実は日本にも手を伸ばして選挙を左右しようとしてきました。デジタル時代になり、余計にやりやすくなっています。それを中国は真似しているのです。今回はうまくいきませんでしたが、あと1ヵ月あります。ある日突然、投票日の前に連合することもあり得ます。
侯友宜氏の支持率が上昇
飯田)ここへきて柯文哲氏の支持率が「グン」と落ち、侯友宜氏の支持率が上がってきています。
青山)もちろん中国の影響です。
飯田)やはりその部分があるのですね。
青山)「負けたと見せかけて」ということではありませんが、民進党の頼清徳さんの人気が盛り上がらないのを、中国は利用しているのだと思います。侯友宜さんにお会いしたことがありますが、とても人柄のいい人です。しかし、あえて言うと警察出身であり、どこか地方の警察署長のような感じなのです。少し無理があるのではないでしょうか。
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