モータージャーナリストの森口将之氏が1月23日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ダイハツ工業による自動車の認証試験を巡る不正問題で注目されている「型式指定」を巡り、「ベンチャー企業が量産車分野に新規参入する障壁にもなっている」と解説した。
ダイハツ工業は自動車の認証試験を巡る不正問題で3車種の「型式指定」の取り消し処分を受け入れる旨の陳述書を国土交通省に提出したことが分かった。これにより、近く取り消し処分が確定するとみられる。
辛坊)今後、電気自動車(EV)の世の中になると、車の部品は少なくなるため、日本の量産車分野にベンチャー企業が参入しやすくなるという見方もあります。ただ私としては、新規参入はほぼ不可能なのではないかとも考えています。どのように見据えていますか
森口)2023年秋、自動車の最新技術や移動の未来をアピールする展示会「ジャパンモビリティショー」が東京で開催されました。この展示会には、いくつかのベンチャー企業が小さい車を出品していました。スピードが一定以上出ないカテゴリーなどでは、衝突の安全基準が一般的な車より緩和されているため、ベンチャー企業はそうしたカテゴリーを狙って開発はできると思います。ただし、5ナンバーや3ナンバーの車への新規参入はかなり難しいのが正直なところでしょう。
辛坊)「型式指定」が機能しているため、日本のユーザーは安心して日本車に乗ることができます。一方で、型式指定は既存の自動車メーカーが新規参入を妨げる障壁になっていませんか。
森口)量産車分野にベンチャー企業が新規参入する障壁になっているという側面はあると思います。もう少し基準を緩くしてくれれば、新規参入がもっと自由にできるでしょう。例えば軽乗用車より一回り小さい超小型モビリティというカテゴリーがあります。2人乗りの電気自動車ですね。ヨーロッパでは結構、走っています。ところが、寸法の規制のほか、ヨーロッパにはない衝突試験の必要が日本では出てくるため、持ち込めません。
こうした車をベンチャー企業が日本で開発する際にも、衝突実験に合格できるだけの車の構造が必要です。そもそも衝突試験では車を潰すことになりますから、それだけでかなりのお金がかかります。そんな理由から、衝突試験の段階で開発をあきらめたという話を過去に聞いたことがあります。
こうしたことから、型式指定は海外から日本の安全基準にはそぐわない車が入ってくるのを阻止できますが、日本のベンチャー育成には負担になっているとも感じています。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)