こんにちは、ニッポン放送アナウンサーの前島花音です。
2月になると「春節」という言葉をよく耳にしますよね。中国の旧正月のことを差しますが、今年は、中国政府が訪日団体旅行を解禁してから初めての春節ということもあり、多くの旅行客の流入が期待され、日頃のニュースでも大きく取り上げられました。
そこで、日本でも「春節」を楽しむことができるイベントが上野で行われるとと聞き、取材に伺いました。
今回取材したのは、今年で2回目の開催となる「ウエノデ.パンダ春節祭」。中国の春節を上野で楽しむことをテーマにしたイベントです。
イベントを主催しているのは、上野中央通り商店会と株式会社中国電視で、2022年のジャイアントパンダ来日50周年イベントを機に両者が出会ったことが、このイベントの始まりです。
中国電視は中国中央テレビ局(CCTV)に日本のニュースを提供している会社です。2022年の8月に中国電視が取材し、CCTVで放送された上野のビアフェスタのニュースが、非常に注目され、全国各地の放送局でも再放送されることになりました。
10月のパンダ来日50周年イベントでも同様の現象がおき、ゼロコロナ政策で家に籠らざるを得なかった人たちが、日本へ旅行に行きたいと思い中国国内で関心を集めていることが可視化される出来事でした。上野中央通り商店会と中国電視は、「上野と中国はパンダでつながっている! 親和性があるんだ!」と確信し、春節祭を2023年に初開催。15万人が来場しましたが、今年はそれを上回り、4日間で20万人の来場を記録しました。
会場は、春節で実際に飾られる赤色に「福」と金色で描いてある提灯や、今年の干支である龍を用いた立体的な飾り、大きな毬のようで、細かな模様が刻まれている竹細工などで彩られ、あたかも中国に訪れたかのように感じられる雰囲気です。所狭しと屋台が並んでおり、どこも行列で大盛況。中国のグルメや伝統工芸品のみならず、パンダのグッズなども展開され、多くの方がこの春節祭を楽しんでいる様子がありました。
家族や友人で来た方、一人の方、様々いらっしゃいましたが、春節には詳しくないけれど上野でイベントを開催しているらしいから来た、という方も。「美味しいものも多いし、現地で雰囲気も楽しんでみたい」「このイベントで中国の文化やグルメに興味を持ったので是非行ってみたい」と、イベントを通してより関心が高まっていることが分かりました。
中央通り商店会・副会長の大河原さんにもインタビューをさせていただきました。大河原さんによると上野の春節祭ならではの特徴があるそうです。
「本来春節では、その年の干支にフィーチャーしますが、このイベントでは上野と中国を繋ぐ存在である“パンダ”も大きく取り上げています。第1回である2022年は上野動物園のシャンシャン返還が決まったことから“ありがとうシャンシャン”というテーマで飾り付けを行ったところ、多くのパンダファンの方に訪れていただきました。
今年もパンダのグッズを身に着けた方がとても多く、一日ごとに異なるパンダの写真がデザインされたポストカードを配布していたところ、全ての絵柄をコンプリートしたいと4日間連続で通ってくれている方も沢山いらっしゃいます」
実際に私が取材した際も、パンダのキーホルダーつけたり、バッグやカチューシャを身に付けたりしている方を多く見かけました。また、パンダをモチーフにしたグルメにも行列ができ、「おかえりシャンシャン!毎日パンダ特別写真館」というブースでは、シャンシャンの写真を見たいと続々と人が集まっていく姿も印象的でした。
そして、来場される方にも特徴があるようです。
「来場したお客様のうち、3分の2が日本人、3分の1が海外の方という割合です。その海外の方も、日本に旅行に来ていたところ、たまたま立ち寄ってみた、という方がほとんどのようです。
そして、ここにいらっしゃる中国人は、旅行客ではなく、比較的、日本で暮らす方が多いように感じます。故郷の味や春節の雰囲気を楽しんでいるようですよ。毎朝500人ほどが入場列を作り、どの屋台も大行列となっていますね」
私が取材に伺った最終日も、会場にいるほとんどが日本人でしたが、中国の文化である「春節」に触れ、大いに盛り上がっていることが分かりました。
では、中国人旅行客は春節をどのように過ごしていたのでしょうか。
調べていくと、どうやら中国人の旅行先のトレンドが変わってきているようなんです。中国の旅行サイトでは“新馬泰”、つまり“シンガポール・マレーシア・タイ”が検索キーワードの上位を占め人気国となっていることが分かります。
なぜこの3か国が人気なのでしょうか、何が共通点なのでしょうか。詳しくは、3月7日配信のポッドキャスト「ニッポン放送・報道記者レポート2024」をぜひお聞きください。