黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(2月22日放送)に駅弁ライターの望月崇史が出演。駅弁の魅力について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。2月19日(月)~2月23日(金)のゲストは駅弁ライターの望月崇史。4日目は、「えび千両ちらし」について---
黒木)今回お持ちいただいた駅弁は「えび千両ちらし」です。えび、イカ、うなぎ、コハダ……。ずっしりと重いですね。
望月)信越本線・新潟駅の「えび千両ちらし」というお弁当です。開けたら驚くと思います。
黒木)開けてびっくり玉手箱ですね。これは何ですか?
望月)千両箱です。開けると一面の厚焼き玉子しか見えないという。その卵焼きをめくっていただくと……。
黒木)うわー。コハダ、うなぎ、えび、イカ。どうして隠したのでしょうか?
望月)完全につくり手の遊び心です。
黒木)幸せな気持ちになりますね。
望月)私はよく、駅弁を食べる前に愛でます。そこにストーリーがあるのではないかと思っているので。盛り付けにも、もしかしたらストーリーがあるかも知れないので、開けてすぐに箸を入れたくなりますが、まず我慢して、10秒ぐらい「うーん」と眺めます。それから箸を入れていく。
黒木)贅沢なちらし寿司ですね。コハダからいただきます。(食べる)よく締まっていますね。美味しい。
望月)普通の駅弁は見栄えにこだわるのですが、あえて隠して、注目してもらおうということです。
黒木)この駅弁、ファンは多いでしょうね。
望月)本当にファンが多いです。東日本エリアを中心に行われた駅弁の人気投票でも、1位になったことがあります。発売は2002年からで、20年以上の歴史があります。「大人向けの駅弁」というコンセプトで開発されました。
黒木)すごく贅沢です。
望月)重みもある。パッケージも見て欲しいのですが、そこにもひと工夫ありまして、外れるのです。
黒木)はがきになってる!
望月)絵はがきになっております。旅の思い出を旅先で書き、お友達に出してみたらどうだろうかと。そういう意味合いで、はがきにしたそうです。
黒木)自分に送ってもいいですね。
望月)聞けば、ほとんどのはがきが駅弁屋さんに戻ってくるそうです。あまりに美味しすぎて、お礼状を書きたくなってしまうのです。
黒木)「美味しかったですよ」という感想を。
望月)皆さんが駅弁を食べた際の嬉しい思いや、旅の思い出が社長に届くのです。社長もそれが嬉しくて、一筆一筆、お礼状を書いて出しているそうですが、「それも楽しい」とおっしゃっていました。
黒木)つくってくれた方々と、食べた方の絆がつながっていますね。
望月)駅弁も1つのコミュニケーションツールなのかなと思います。駅弁をいただくことによって、旅の思い出や共通の思い出が重なり、それがつくり手の皆さんにも伝わる。お弁当を通して、いろいろな気持ちのやりとりがあるのが楽しいですね。
黒木)つくった方の顔が見えるのは素敵ですよね。
望月)お弁当屋さんは、特に地方だと規模も大きくなく、社長が自らつくるところも多いので、そういうものが伝わってくるのです。
黒木)「えび千両ちらし」は新潟でしか買えないのですか?
望月)実は東京駅でも買えます。買えるのですが、すぐに売れてしまいます。ですので、朝一を狙うといいかも知れません。新潟は、えびの食文化の地域です。ご飯の上に昆布が載っていますが、日本海側は北前船で関西文化圏とつながっていたので、昆布文化もあるのです。
黒木)ちらしに昆布が載っているのは少し珍しいですね。
望月)「北海道、関西とつながっている文化の地域だから」と思いながら食べると、より一層美味しくいただけます。
望月崇史(もちづき・たかふみ)/駅弁ライター
■1975年・静岡県生まれ。
■早稲田大学在学中から、放送作家として活動。
■ラジオ番組をきっかけに全国の駅弁食べ歩きをはじめ、食べ歩き歴はおよそ20年。これまでに5000個以上の駅弁を実食。
■単なる駅弁の感想に留まらず、駅弁をつくる企業や人々を丹念に取材している。
■ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマに記事を執筆。日本旅のペンクラブ所属。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳