黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(2月23日放送)に駅弁ライターの望月崇史が出演。駅弁の魅力について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。2月19日(月)~2月23日(金)のゲストは駅弁ライターの望月崇史。5日目は、「ワインのめし」について---
黒木)今回の駅弁は何でしょう?
望月)最終日は、中央本線・小淵沢駅の「ワインのめし」です。
黒木)かわいいイラストですね。
望月)基本、駅弁は想像の食べものなので、なかを見せないものが多いのです。まずパッケージでどんなものかを想像するところから、駅弁は始まっています。
黒木)パッケージでは牛がワインを持っていて、昔ながらの車掌が切符を切っています。「ワインのお供に」ということでしょうか?
望月)まさにそういうことです。でも、パッケージを開けていただくと、あるべきものがありません。
黒木)「ワインのめし」になくてはいけないもの……ごはんですか?
望月)そうです。実は、パンの駅弁なのです。
黒木)だからワインの供なのですか。でも、「ワインのめし」なのに飯がない。
望月)これは「のめし」という山梨の方言、甲州弁なのです。
黒木)「ワイン飲めし」なのですね。
望月)「飲んでいきなさい」という意味の方言です。掛詞でもあるので、「ワインのお供ですよ」という意味と、「山梨で飲んでいきなさいよ」という意味が込められています。
黒木)山梨はブドウが美味しいから、いいワインが多く出ていますよね。
望月)ワインのお供として、特に注目したいのがカツサンドです。パンの駅弁と言いましたが、カツサンドが1ヵ所入っています。富士桜ポークを使ったカツサンドなのですが、よく見ると駅弁仕様になっています。
黒木)どういうことですか?
望月)普通、カツサンドは分厚い肉がザクッとなっているものが多いのですが、よく見ると薄めのお肉が何層にも重なっているのです。
黒木)ミルフィーユのようになっています。
望月)冷めたときにお肉が固くならないよう、工夫しているのです。そうすることで冷めても美味しい「パン駅弁」を実現しています。
黒木)外国の方も多くいらっしゃるようになり、私も駅弁をよく買いますが、いろいろトライするのは面白いですね。
望月)地域の食文化が入っており、少し値段が高めなので、若い世代だとなかなか手が届かない、手を出せないという方もいます。そういう方にもアプローチしたい思いがあるそうです。新しい商品を考えたり、昔ながらの掛け紙(パッケージ)もあれば、ポップな掛け紙にしたり、カジュアルな名前を付けたものもあります。
黒木)どれを買おうか迷ってしまい、1周しても決まらないのですよね。どれも美味しそうで、全部欲しくなります。外国の方もどれを買うかすごく悩んでいて、駅弁を買うのがすごく楽しいのではないかと思いました。
望月)コロナ前ぐらいから海外進出しているお弁当屋さんがあり、一時はパリなどに期間限定でお店を出していました。
黒木)向こうはパンやバナナなど、そういうお弁当ですものね。
望月)幕の内を持って行くと、盛り付けの彩りがアートのように見える方も多いようです。
黒木)「OBENTO」と売るのですか? それとも「EKIBEN」で売るのですか?
望月)「弁当」という文化は伝わっているので、プラスして「EKIBEN」と出すパターンも多いですね。「駅弁という文化を伝えたい」と駅弁各社の方は言います。
黒木)これからも望月さんは、まだまだ駅弁を食べ続けるのですか?
望月)そうですね。毎月新しいものが出てきて、終わりがない旅ですので。
黒木)乗り鉄や撮り鉄などがありますけれど、「食べ鉄」ですね。
望月)もちろん乗りもしますが、食べ鉄です。
望月崇史(もちづき・たかふみ)/駅弁ライター
■1975年・静岡県生まれ。
■早稲田大学在学中から、放送作家として活動。
■ラジオ番組をきっかけに全国の駅弁食べ歩きをはじめ、食べ歩き歴はおよそ20年。これまでに5000個以上の駅弁を実食。
■単なる駅弁の感想に留まらず、駅弁をつくる企業や人々を丹念に取材している。
■ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマに記事を執筆。日本旅のペンクラブ所属。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳